人間ドックで糖尿病の要精査者をスクリーニングするためのHbA1cのカットオフ値は5.6%(JDS値、以下同様)が妥当――。京大内分泌代謝内科の井田みどり氏、平田雅一氏らが、約5000人の人間ドック受診者のデータを解析した結果から指摘した。第31回日本肥満学会学術集会(10月1~2日、開催地:前橋市)における報告。
HbA1cは、米国糖尿病学会(ADA)、国際糖尿病連合(IDF)、欧州糖尿病学会(EASD)の糖尿病診断基準として用いられている。日本糖尿病学会(JDS)が今年発表した新しい診断基準にもHbA1cの項目が追加され、早朝空腹時血糖(FPG)126mg/dL以上や75gブドウ糖負荷試験(75g OGTT)2時間値200mg/dL以上といった条件に加え、HbA1c 6.1%以上が糖尿病の診断基準となった。
一方、日本人間ドック学会の判定基準では、HbA1c 5.2%以上を「要指導」として耐糖能異常のスクリーニングに用いている。
井田氏らは、人間ドック受診者の中から、糖尿病の可能性があるため糖代謝系精査(FPG、75g OGTT)が必要と考えられる人を、HbA1cによりスクリーニングする際の最適な基準値について検討した。
対象は、共同研究施設であるNTT西日本京都病院の人間ドックを2008年1月~2009年12月に受診した男性9309人中、糖尿病受診者を除外し、OGTTを施行した4782人(年齢49.8±7.7歳、体格指数[BMI]23.6±3.1kg/m2)。
JDSの診断基準に基づき、ドック1日目、2日目のFPGがいずれも126mg/dL以上の場合、または1日目のFPGが126mg/dL以上かつ2日目に行ったOGTTの2時間値が200mg/dL以上の場合を糖尿病と診断した。
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