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日本心臓病学会2010
NT-proBNPはIHDの新たなバイオマーカーに
CRPやeGFRより鋭敏、久山町研究より

2010/10/22
軸丸 靖子=医療ライター

九大の土井康文氏

 脳性ナトリウム利尿ペプチドBNP)や高感度C反応性蛋白hsCRP)、ホモシステインなど、近年注目を浴びているバイオマーカーのなかで、虚血性心疾患発症の予測能が最も高いのはどれか――。

 九大病態機能内科学の土井康文氏は、久山町のコホート集団を対象に各バイオマーカーの比較を行い、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメントNT-proBNP)の予測能が優れていることを明らかにした。第58回日本心臓病学会学術集会(9月17~19日、開催地:東京都千代田区)のパネルディスカッション「健診データからのリスクアセスメント」で報告した。

 虚血性心疾患や脳梗塞の発症を予測する因子としては、収縮期血圧や低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)といった古典的な指標のほかに、hsCRPや慢性腎疾患、推定糸球体濾過量(eGFR)、ホモシステイン、脂肪肝、γGTPといった新たな指標の有用性が確認されている。心不全管理に用いられるBNPおよびNT-proBNPも、その1つだ。

 BNPとNT-proBNPは、心負荷によってBNP前駆体から合成され循環血液中に放出される心臓ホルモン。BNPには生理活性があるがNT-proBNPには生理活性がない。後者は血中半減期が長く酵素分解も受けないため、検査指標としてはBNPよりも優れている。

 土井氏らは、2002~07年に久山町の住民健診を受けた40歳以上の3064人を対象に、NT-proBNP上昇に伴う心血管病発症の相対リスクを検討。その結果、NT-proBNPの上昇に伴い相対リスクは有意に上昇していることが判明した。

 正常値(55pg/mL未満、BNPの20pg/mL未満に相当)と比較して、55~125pg/mLでは性・年齢で調整した相対リスクが1.9倍に、125~500pg/mLでは3.2倍に、500~1000pg/mLでは3.9倍に、1000pg/mL以上になると8.5倍になっていた。
 

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