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日本肥満学会2010
肥満症の診断基準、来春の改訂へ向け議論(1)
新たなエビデンスに基づき「減量を要する健康障害」などを改変

2010/10/21
後藤 恭子=医療ライター

千葉大大学院の横手幸太郎氏

 第31回日本肥満学会学術集会(10月1日~2日、開催地:前橋市)で行われたシンポジウム「新しい肥満症診断基準」で、2011年春に発表予定の改訂診断基準案が明らかになった。

 現在の「肥満症診断基準」が作成されたのは2000年。健康障害を伴い医学的に減量治療が必要な疾病としての肥満、いわゆる「肥満症」という概念を初めて打ち出し、診断基準を設けることで脂肪組織が過剰な肥満との識別を明確化した。

 また、日本人では肥満は軽度でも内臓脂肪型肥満が多いことに警鐘を鳴らし、内臓脂肪蓄積のスクリーニングとして「男性85cm以上、女性90cm以上」というウエスト周囲径の基準値を示したことは、当時、臨床のみならず世間の注目を集めた。

 10年ぶりとなる今回の改訂では、この10年間に得られた国内外の知見に基づき、日常診療において減量を要する肥満症患者をさらに的確に選び出すための診断ポイントの見直しなどが検討されている。

質的異常・量的異常を「診断に必須な合併症」として統一

 現在の診断基準では、BMI値が25以上で、(1)肥満に起因ないし関連し、減量を要する健康障害を有する、(2)内蔵脂肪型肥満――のどちらかの条件を満たす場合を、「肥満症」としている。この定義自体は改訂案でも変わらないが、「肥満に起因ないし関連し、減量を要する健康障害」の具体的な内容が、議論の1つとなった。

 本学会が2006年に作成した「肥満症治療ガイドライン」では、「肥満に起因ないし関連し、減量を要する健康障害」を、さらに(1)脂肪細胞の質的異常による肥満症、(2)脂肪細胞の量的異常による肥満症――の2つに分類。前者は耐糖能異常・2型糖尿病、脂質代謝異常、高血圧など主に生活習慣病関連の7項目、後者は骨・関節疾患、睡眠時無呼吸症候群、月経異常の3項目で構成した。

 しかし最近では、後者の「脂肪細胞の質的異常による肥満症」の構成要素となる疾患でも内臓脂肪の関与が指摘されていることから、今回の改訂案では「診断基準に必須な合併症」として一体化する方針を示した。

 「量的異常」と「質的異常」のカテゴリーを一体化することについて、本学会肥満症診断基準検討委員会委員である横手幸太郎氏(千葉大大学院細胞治療内科学教授)は、「月経異常、睡眠時無呼吸症候群、変形性関節症については、炎症性の要因としてサイトカイン異常やホルモン異常など、物理的な要素以外も十分考えられる。中でも月経異常については婦人科、産科の先生方から量的異常という位置づけでいいのかという問題提起があった」と説明した。
 

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