日経メディカルのロゴ画像

日本心臓病学会2010
高齢心不全患者に対してもカルベジロールは有用
LVEFやBNPが有意に改善、忍容性も良好

2010/10/20
高橋 浩=メディカルライター

福井県立病院の鈴木将智氏

 β遮断薬カルベジロールは、拡張障害が多い高齢者心不全に対しても有効で、忍容性の点でも問題ないことが分かった。福井県立病院循環器内科の鈴木将智氏らが、第58回日本心臓病学会学術集会(9月17~19日、開催地:東京都千代田区)で報告した。

 カルベジロールは心不全に広く使用されているが、肝臓代謝型であるため肝機能が低下していることの多い高齢者に対しては、低用量から開始するなど慎重な投与が望ましいとされる。

 また、収縮障害型心不全に対する予後改善効果を示すエビデンスは多数得られているが、高齢者に比較的多い拡張障害型におけるエビデンスはまだ少ない。

 そこで鈴木氏らは今回、高齢者心不全に対するカルベジロールの効果と忍容性を検討した。対象は、2006年8月~2010年7月の4年間に、心不全増悪のため自院に入院しカルベジロール導入パスを用いて同薬を新規に使用した心不全患者中、導入前と維持量導入後に心エコー検査および脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)測定が可能だった連続61例。これらの症例を75歳未満の28例と75歳以上の33例に分けて比較した。

 カルベジロールの投与は、1.25mg/日または2.5mg/日から開始し、3~7日ごとに、忍容性に問題がなければ10mg/日まで増量、さらに増量可能と判断された場合は20mg/日まで増量した。

 導入に際しては、基礎心疾患や左室駆出率(LVEF)による基準は設けず、主治医が可能と判断した時点で導入開始とした。心拍数や収縮期血圧は、導入当日と維持量導入1週間後の測定値を用いた。

 両群の患者背景を比較すると75歳以上群では、女性比率、基礎心疾患が虚血性である割合、LVEF、血漿BNP濃度が高く、左室拡張末期径は小さかった。また75歳以上群では入院期間が長く、RAS阻害薬の併用率は低かった。一方、収縮期血圧、心拍数には有意差はなかった。

 LVEFが50%以上と定義した拡張障害型心不全は75歳以上群で51.5%を占め、75歳未満の10.7%に比べて有意に高率だった。
 

この記事を読んでいる人におすすめ