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日本心臓病学会2010
CEAに比べたCASの非劣性はほぼ確立
術中のIVUSによる評価でCAS成績のさらなる向上に期待

2010/10/18
軸丸 靖子=医療ライター

東海大の緒方信彦氏

 頸動脈狭窄症には頸動脈ステント留置術CAS)と頸動脈内膜摘除術CEA)のどちらが優れるか――。欧米で行われたこれまでの大規模ランダム化比較試験(RCT)の結果を見る限り、その決着はまだ付いていない。

 第58回日本心臓病学会学術集会(9月17~19日、開催地:東京都千代田区)のコントロバーシー「内頸動脈疾患 CEA vs. CAS」で、循環器内科の立場から登壇した東海大循環器内科の緒方信彦氏は、欧米でのRCTやレジストリーの成績を整理するとともに、CAS成績向上に向けた課題を明らかにした。

 CASのCEAに対する非劣性を示した代表的なRCTといえば、SAPPHIRE(Stenting and Angioplasty with Protection in Patients at High Risk for Endarterectomy)試験といえるだろう。

 術後30日、1年の成績でもCASはCEAと同等(非劣性)であることが確認されていたが、2008年には術後3年の長期成績が報告された。主要有害事象(MAE)発生率はCEA群が30.3%、CAS群が25.5%と有意差は認められなかっただけでなく(P=0.231)、再血行再建術施行率ではCEAの7.1%に対してCASは3.0%と、有意差はなかった(P=0.084)もののCASの方が優れていた。

 これとは逆に、CASの非劣性を証明できなかったRCTが、EVA-3S(The Endarterectomy Versus Angioplasty in Patients With Symptomatic Severe Carotid Stenosis)試験やSPACE(Stent-Supported Percutaneous Angioplasty of the Carotid Artery versus Endarterectomy)試験だ。だが緒方氏によれば、「両試験とも背景を慎重に見る必要がある」という。

 EVA-3S試験では、CAS群での術後30日の死亡および脳梗塞発生率が9.6%と、CEA群の3.9%に比べ有意(P=0.01)に高かった。

 しかし、EVA-3S試験では、CASの症例登録が1施設あたり年に1.7件とスローペースだったことや、手技が標準化されていなかったことなど、予想を超えて不良な結果を招いたと考えられる要因があった。遠位塞栓予防デバイス(EPD)の使用は7割未満、後拡張も2割程度など、CAS成績を向上させる手技も十分ではなかった。

 「術者のCAS経験が12例以上と浅かったことにも問題があったのではないかと批判されている」と緒方氏。
 

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