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日本心臓病学会2010
冠攣縮性狭心症患者へのSES留置は高リスク
心血管イベントがBMS留置例に比べ有意に増加

2010/10/14
高橋 浩=メディカルライター

倉敷中央病院の岡直樹氏

 冠攣縮性狭心症患者にシロリムス溶出性ステント(SES)を留置すると、冠攣縮陰性例への留置に比べ、心血管イベントの頻度が有意に高くなるというデータが、第58回日本心臓病学会学術集会(9月17~19日、開催地:東京都千代田区)で発表された。倉敷中央病院循環器内科の岡直樹氏らによる研究成果だ。

 冠攣縮性狭心症は日本人に多いことが指摘されている。以前に比べると減少したとの見方もあるが、狭心症の約4割を占めるというのが一般的な認識だ。病態には血管内皮障害や血管平滑筋の過収縮が指摘されている。

 一方で最近、冠動脈へのSES留置により、冠動脈の内皮機能障害や過剰な血管収縮が惹起されることが報告されている。このため、冠攣縮性狭心症患者に対するSES留置は予後に悪影響を及ぼす可能性が推測されるが、実際に検討した報告はほとんどない。

 そこで岡氏らは今回、冠攣縮性狭心症患者の予後に対するSES留置の影響を検討した。対象は、同院で2003年以降、胸痛精査のためエルゴノビン冠攣縮誘発試験を行った症例中、試験後に器質的冠動脈狭窄に対してSESまたはベアメタルステント(BMS)を留置した153例。

 内訳は、冠攣縮陽性でSES留置が26例、冠攣縮陰性でSES留置が53例、冠攣縮陽性でBMS留置が28例、冠攣縮陰性でBMS留置が46例だった。平均フォローアップ期間は1443日(約4年)。全例でステント留置6~8カ月後および18~20カ月後に確認冠動脈造影(CAG)を行った。

 4群の患者背景を比較すると、男性、喫煙の比率がSES、BMSとも冠攣縮陽性の群で高かった。基礎疾患を見ると、安定狭心症が各群とも7~8割を占めた。糖尿病、高血圧、家族歴には有意差はなかった。罹患冠動脈枝数は4群とも、1枝が6~7割を占めた。標的冠動脈枝には有意差がなかった。
 

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