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日本心臓病学会2010
緊急カテ時の造影剤腎症予防にアスコルビン酸が有用
検査前急速静注、検査後点滴で発症を有意に抑制

2010/10/08
高橋 浩=メディカルライター

都立広尾病院の小宮山浩大氏

 緊急の冠動脈造影CAG)や経皮的冠動脈インターベンションPCI)に伴う造影剤腎症CIN)の予防策として、アスコルビン酸の検査前急速静注と検査後点滴が有用であることが明らかになった。都立広尾病院循環器科の小宮山浩大氏らが行った前向き試験の結果で、第58回日本心臓病学会学術集会(9月17~19日、開催地:東京都千代田区)で同氏が発表した。

 CT検査、血管造影、血管内治療などが普及するに従い、造影剤の使用頻度が高まっている。中心となるヨード造影剤で問題となるのが腎障害だ。院内発症腎障害として広く認識されつつある。

 CINの発症リスクは、造影剤使用時の状況や患者背景によって異なる。CAGを待機的に行った場合の発症率は0~10%程度であるのに対して、急性心筋梗塞や不安定狭心症などに行う緊急CAGの場合は、待機的検査時の約2倍高率になるとされる。わが国の緊急PCI患者を対象にした検討では、CINが28%で認められたとの報告もある。リスクとなる患者背景としては、検査前からの腎機能低下のほか、高齢、糖尿病などが判明している。

 CINはいったん発症すると、予後に少なからぬ悪影響をもたらす。小宮山氏によると、CINを発症した急性心筋梗塞患者の生存率は非発症例より有意に低く、CINは急性心筋梗塞患者の独立した予後規定因子になるという。

 CAGに際しては、基本的にヨード造影剤が使用される。腎毒性がまったくないヨード造影剤は存在しない。CIN発症後には根本的な治療法がないので、予防に努めるしか方策はない。

 予防的治療として、輸液・補液、利尿薬投与、ドパミン、プロスタグランジンなどの腎血流改善薬投与、抗酸化剤であるNアセチルシステインやアスコルビン酸の投与などが報告されている。しかし、決定的な予防策は確立していない。
 

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