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日本心臓病学会2010
CHFへのカルベジロール、生涯医療費は抑制
外来での薬剤費は増加するが入院を回避でき総医療費は100万円安く

2010/10/06
軸丸 靖子=医療ライター

北里大の猪又孝元氏

 医療コストの低減を求められた臨床現場が直面しがちなのが、「効果は高いがコストも高い治療法」をどう考えるかという問題だ。北里大循環器内科学の猪又孝元氏は、慢性心不全(CHF)治療におけるβ遮断薬カルベジロールの費用対効果について、予後予測モデルを用いて検討。

 カルベジロール群では従来療法群に比べ、月あたり薬剤費は約6000円多くかかるが、入院率の減少によって、生涯総医療費は100万円近く低く抑制できると、第58回日本心臓病学会学術集会(9月17~19日、開催地:東京都千代田区)の特別企画「循環器疾患の医療経済学(重症心不全治療の医療経済)」で報告した。

 検討では、軽度から中等度のCHF患者におけるカルベジロールの至適用量を検討するため行われたMUCHA(Multicenter Carvedilol Heart Failure Dose Assesment)試験のデータを用い、マルコフモデルで心不全悪化率を予測するモデルを作成。従来療法群(利尿薬、ACE阻害薬、ジギタリス)とカルベジロール群(従来療法+カルベジロール20mg/日)で費用対効果を比較した。

 対象患者は、外来で薬物療法を受け、具合が悪くなると入院し、改善すると通院に戻ると仮定した。外来コストは適切に行った検査と治療費用、および薬剤費の和として算定。入院コストは北里大学病院のDPCデータから急性心不全患者132例にかかった費用を参考にした。CHF悪化に伴う死亡の発生率は、MUCHAおよび日本の国内調査結果を参照した。

 この設定で検討した結果、慢性心不全の悪化に伴う入院率は、従来療法群で月あたり2.7%だったのに対し、カルベジロール群では同0.25%と10分の1以下にとどまっていた。CHF悪化に伴う死亡の発生は、従来療法群が0.80%、カルベジロール群で0.41%だった。
 

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