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循環器プレミアム速報
「コレステロールは高い方がよい」にJ-CLEARが見解
一般住民対象とした追跡研究の限界を指摘

 NPO法人の臨床研究適正評価教育機構J-CLEAR、理事長:東京都健康長寿医療センター副院長の桑島巌氏)は、日本脂質栄養学会(会長:富山大和漢医薬学総合研究所教授の浜崎智仁氏)が今年9月に発表した「長寿のためのコレステロールガイドライン」に対する見解を発表、9月30日までに同機構のウェブサイトで公開した。

 日本脂質栄養学会の「長寿のためのコレステロールガイドライン」では、「総コレステロール値あるいは低比重リポ蛋白(LDL)-コレステロール値が高いと、日本では何と総死亡率が低下する。つまり、総コレステロール値は高い方が長生きなのである」として、日本動脈硬化学会が提唱しているガイドラインに異を唱えている。

 「長寿のためのコレステロールガイドライン」は、日本脂質栄養学会のウェブサイトで概要を閲読できる。また、同サイトに掲示されている大櫛陽一氏(こちら)、および浜崎氏(こちら)の関連総説を読むと、より詳細な根拠・主張が分かる。

 これに対してJ-CLEARでは「このような論争は実地臨床家のみならず一般国民に混乱をもたらすものであり、(中略)これまでに報告されているエビデンスを公正かつ中立的な立場から考察し」、現時点では妥当と考えられる5項目の提言を行った。以下にその概要をまとめた。

(1)高コレステロール血症が動脈硬化性疾患の危険因子であることは多くの疫学研究によって確認されている。だが発症リスクに性差があることについては、国民に浸透していない。動脈硬化性疾患のリスクが低い女性のコレステロール基準値は、男性とは別に、また更年期以前と以降に分けて提示する必要がある。

(2)コレステロールの治療開始基準や管理目標値については、個々の患者の危険因子の状況や、1次予防と2次予防の違いによって異なる。

(3)「コレステロール値は高めが長生き」と主張するグループの見解は、主に一般住民での一部の調査結果を根拠にしている。しかし一般住民の追跡調査では、慢性肝疾患などの消耗性疾患や虚弱体質といった住民の除外補正が十分行われていないために、コレステロール値の低い例が死亡するという統計成績になった可能性がある。従ってその結果から、一概にコレステロール値が高い方が長寿であると結論付けることは極めて危険である。

[以下、次項]

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