
欧州心臓学会(ESC2010)が8月28日~9月1日、スウェーデンのストックホルムで開催された。今学会では、いくつかの新しいガイドラインが発表されたが、中でも新しい心房細動ガイドライン(関連記事1、関連記事2)は、これまでのように米国との合同ではなくESCが単独でまとめた初のガイドラインとして注目を集めた。
全61ページにわたる新しい心房細動ガイドラインでは、従来のCHADS2スコアよりもきめ細かい評価指標の「CHA2DS2-VAScスコア」、大出血を予測する「HAS-BLEDスコア」などが新たに導入されるなど、改めて抗血栓療法による脳卒中予防の重要性が強調された。
また、標準治療のワルファリンに代わる新しい抗凝固薬として、現在開発中のdabigatran(選択的トロンビン阻害薬)とapixaban(選択的第Xa因子阻害薬)についても、改訂心房細動ガイドラインで触れられている。
こうした影響もあってか、HOTLINEセッションではapixabanとrivaroxabanという2つの第Xa因子阻害薬の第III相試験の成績が報告されたほか、製薬メーカー共催のサテライトシンポジウムやプレス向けイベントでも、新しい経口抗凝固薬の話題が目白押しで、いずれも多くの聴衆を集め、盛況だった。
開発中のメーカーはいずれも、複数の適応症について臨床試験を進めているが、最終的にはそのマーケットの大きさゆえに「心房細動患者の脳卒中予防」での承認を目指しているようだ。
そこで今回は、ESC2010で話題となった新しい抗凝固薬の情報について、心房細動を中心にまとめて紹介しよう。
apixaban、心房細動患者を対象にアスピリンと比較
8月31日のHOTLINEセッションでは、第Xa因子阻害薬apixabanの第III相試験であるAVERROES試験の結果が発表された(関連記事3)。