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日本蘇生学会2010
院外心肺停止例に対するPCPS
救急要請45分後の導入で神経学的異常なく救命

2010/09/28
高橋 浩=メディカルライター

佐賀県立病院好生館の柴山優氏

 院外心肺停止例の救命手段としての経皮的心肺補助PCPS)が注目されている。薬の大量服用が原因と推定される低体温症によって心室細動(VF)を呈した院外心肺停止例に対して、救急要請から45分後にPCPSを導入した結果、神経学的問題をのこさずに救命できたと、日本蘇生学会第29回大会(9月10~11日、開催地:宇都宮市)で佐賀県立病院好生館救命救急センターの柴山優氏らが報告した。

 PCPSは、遠心ポンプと膜型人工肺を用いた閉鎖回路の人工心肺装置により、カニューレを経皮的に穿刺した大腿動静脈経由で心肺補助を行う治療。これまでは、急性心筋梗塞などに伴う重症心不全、開心術後の低拍出症候群、大動脈瘤をはじめとする大血管疾患の手術における補助循環、重症呼吸不全などが対象とされてきた。

 しかし、近年はさらに、救急患者、特に心肺停止例に対する有効性が注目され、適用例が急速に増大しつつある。PCPS研究会の全国調査では、救急領域における使用が約4分の1を占め、調査施設のほぼ半数が、院内のみならず院外の心肺停止例にも行っている。

 心肺停止例に対するPCPSのエビデンスについては、血流停止時間の短い院内心肺停止例で、心肺停止の原因が回復または修復可能な場合に考慮すべきとされている(クラス2b)。根拠となっている欧米の報告の多くが、院内心肺停止例を主な対象としているためだ。

 わが国では一部の施設を中心に、院外心肺停止例への適用が積極的に進められ、優れた成績を上げてきた。わが国でも、病院到着時に自己心拍再開のない患者の社会復帰率はきわめて低いが、心停止から比較的短時間でPCPSを導入した症例の予後は良好だ。

 1991年よりPCPSを活用し始めている市立札幌病院救命救急センターでは、心停止から60分未満の症例の心拍再開率は82.5%、PCPS離脱率60.0%、生存率52.5%、社会復帰率40.0%だった。これは60分以上の症例における心拍再開率75.4%、PCPS離脱率47.5%、生存率32.8%、社会復帰率9.8%に比べ、いずれも有意に良好な成績を得ている。
 

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