
旭川医大の中川直樹氏
アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)とCa拮抗薬(CCB)の併用は、推算糸球体濾過量(eGFR)を低下させずに尿中アルブミン排泄量(UAE)を改善させることが分かった。本態性高血圧患者を対象に、ARBカンデサルタンの単独高用量投与とCCBニフェジピン(CR錠)との併用を比較したNICE Combi Studyのサブ解析の結果だ。
アルブミン尿を認める本態性高血圧患者に対して、ARBとCCBの併用の有用性が示唆される知見といえる。第53回日本腎臓学会学術総会(6月16~18日、開催地:神戸市)で、旭川医大循環呼吸神経病態内科学分野の中川直樹氏らが発表した。
慢性腎臓病(CKD)患者にレニン・アンジオテンシン系抑制薬を投与している場合、第2選択薬としてはCCBまたは利尿薬が推奨されている。だが、併用薬としてどちらが優れるかについては、明らかではない。
高血圧を合併した蛋白尿を認める2型糖尿病患者を対象にしたGUARD試験では、ACE阻害薬と利尿薬の併用の方がACE阻害薬とCCBの併用よりも、UAEの改善効果では優れていた。だが利尿薬との併用群ではeGERの低下も大幅で、UAEの改善がeGFRの低下に由来していることが考えられた。この場合、心・腎イベントの抑制につながらない可能性があり、利尿薬との併用の方が優れているとはいえなくなる。
NICE Combi Studyでは、ベースライン期として全例にカンデサルタン8mgを8週間投与後、二重盲検期としてカンデサルタン12mg投与群(以下、増量群)とニフェジピンCR 20mg併用群(併用群)にランダムに割り付け、さらに8週間追跡した。降圧およびUAEの改善効果は、増量群よりも併用群の方が有意に優れていたことが既に報告されている。
今回中川氏らは、NICE Combi Studyに登録された本態性高血圧患者258例中、試験開始時に微量アルブミン尿を呈していた101例を対象に、日本人の推算式を用いてeGFRを算出、eGFRとUAEの変化との関連を解析した。