
東京慈恵医大の和田高士氏
わが国のメタボリックシンドロームの腹囲基準(男性85cm以上、女性90cm以上)に対して、見直しを求める声が高まっている。
東京慈恵医大附属病院新橋健診センターの和田高士氏らは、人間ドック受診者約3500人の経過を3年間前向きに追跡した検討から、高血圧、脂質異常症、高血糖を予防するという観点では、腹囲基準は男性85cm以上、女性80cm以上とするのが妥当との考えを示した。
第42回日本動脈硬化学会総会・学術集会(7月15~16日、開催地:岐阜市)のシンポジウム「肥満と動脈硬化/メタボリックシンドロームの再検証」で、同氏が発表した。
同センターは1999年にわが国で初めて、人間ドックの標準項目として腹囲測定を取り入れた。以後、年間平均約8000人、10年間で8万人余りの累積データを得ており、このデータをもとにさまざまな解析を行ってきた。
今回は、(1)腹囲がどのレベル以上になったら代謝異常(高血圧、脂質異常症、高血糖)が生じてくるのか、(2)腹囲、体格指数(BMI)、腹囲/身長比の3指標のうち、代謝異常予防の観点で最も適切な指標は何か――という2点について検討した。
対象は、2000~2005年に同センターの人間ドックを初回受診し、その後3年間経過観察でき、かつ初回登録時の検査結果がすべて基準範囲内にあった3488例(男性2091例、女性1397例)。
観察期間中の高血圧(収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上、または観察期間中の降圧薬服用)、脂質異常症(中性脂肪150mg/dL以上、高比重リポ蛋白コレステロール40mg/dL未満、または脂質異常症治療薬服用)、高血糖(血糖値110mg/dL以上または糖尿病治療薬服用)の発症について検討したところ、高血圧は男性16.4%、女性6.4%、脂質異常症は男性21.8%、女性8.0%、高血糖は男性6.9%、女性2.4%で認められた。