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循環器プレミアム速報
腹部大動脈瘤ステントグラフト治療、全国成績良好
実施基準管理委員会は「成功率高い治療法」と評価

2010/07/23
後藤 恭子=医療ライター

JACSM事務局長の石丸新氏

 日本脈管学会や日本循環器学会など関連10学会で構成される「日本ステントグラフト実施基準管理委員会」(JACSM、委員長:重松宏・東京医大外科学第二講座主任教授)は7月15日、2006年の保険承認後初となる腹部大動脈瘤(AAA)ステントグラフト治療の第1期追跡調査の結果を、JACSM主催のプレスセミナーで発表した。

 調査結果をまとめたJACSM事務局長の石丸新氏(戸田中央総合病院副院長・血管内治療センター長)は、「術中、退院後の有害事象も非常に低率で、成功率の高い治療法として完成されている」との評価を示した。

 大動脈瘤のステントグラフト治療の実施にあたっては、腹部・胸部それぞれに画像診断装置の整備、外科手術体制などの施設基準や、血管内治療の基礎経験、大動脈疾患の理解と患者管理経験、指導医による適応判定と技術修練などの実施医基準が設けられている。

 胸部大動脈瘤(TAA)のステントグラフト治療についてはAAAから1年遅れで保険承認された上に、実施基準が厳しいため指導医が全国で45人と少なく、指導医が在中する病院も全国で34施設にとどまる。そこで今回の追跡調査は、全国的に症例が集積されたAAAのみを解析対象とした。

 調査対象期間は、AAAのステントグラフト治療が保険承認された2006年7月1日から08年6月30日までの2年間。指導医が在籍し、全例調査に協力している全国86施設(指導医118人)から、治療前から退院までの状況がすべて登録されている1724例(解析率90.9%)を対象とした。男女比は1513/211例。年齢は75.5±7.7歳だった。

 患者背景はAAAが1692例のほか、腸骨動脈瘤22例など。併存症は高血圧1133例、冠動脈疾患534例、呼吸障害442例、脳梗塞297例、糖尿病219例、腎機能障害235例で、開腹手術の既往がある症例は390例だった。なお、動脈瘤径は51.6±10.2mmだった。

 術中の麻酔方法は、全身麻酔が1143例、硬膜外麻酔360例、局所麻酔206例、その他15例。術中の有害事象は、複雑な症例で時間を要したり、血管損傷など特殊な合併症が生じたケースなど55例に対して輸血が行われたが、死亡例はなかった。
 

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