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欧州高血圧学会2010
糖尿病合併高血圧の降圧目標緩和は妥当
スウェーデンのNDR研究からの知見

2010/07/23
編集部

スウェーデン・Lund大学のPeter N Nilsson氏

 今年3月に米国心臓学会で報告されたACCORD BP試験(関連記事1)の結果を受け、第20回欧州高血圧学会(6月18~21日、開催地:オスロ)でも糖尿病合併高血圧患者の降圧目標について、多くのセッションで取り上げられていた。

 欧州高血圧学会(ESH)は昨年発表した改定ガイドラインで、糖尿病合併高血圧の降圧目標から「130/80mmHg未満」を削除した。「140/90mmHg未満、限りなく130/80mmHgに近く」が、現在の推奨である。学会2日目、スウェーデンのNDR(National Diabetes Register)データベースを用いた検討から、この判断は妥当であるとスウェーデン・Lund大学のPeter N Nilsson氏が報告した。

 NDRはスウェーデンの全国的な糖尿病レジストリーで、同国の糖尿病患者の7割弱が登録されている。Nilsson氏はこのレジストリーから、2002年に収縮期血圧(SBP)が110mmHg以上で降圧薬を服用していた2型糖尿病患者1万2677例を抽出し、ベースラインおよび追跡期間中の血圧値と転帰との関係を調べた。1万2677例中、18.7%(2373例)には心血管疾患が認められた。慢性心不全と腎機能障害例は除外し、背景因子のバラツキは補正した。

 その結果、冠動脈疾患、脳卒中とも、観察期間中に130mmHg未満への降圧によるイベント増加、いわゆるJカーブ現象は認められなかった。心血管疾患既往の有無に分けて検討しても同様だった。

 追跡期間中のSBP平均値を「130mmHg未満」、「130mmHg以上140mmHg未満」、「140mmHg以上」の3群に分けてイベント発生率を比較したところ、冠動脈イベントは順に7.1%(標準偏差:4.3、以下同様)、8.0%(4.6)、10.5%(5.6)、脳卒中は2.8%(2.1)、3.7%(2.7)、5.9%(3.9)、心血管イベントは9.6%(6.0)、11.2%(6.4)、15.2%(7.9)だった。
 

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