
イタリア・Milano-Bicocca大学のGiuseppe Mancia氏
欧州高血圧学会(ESH)は昨年11月、高血圧ガイドラインの部分改定を行った(J Hypertens. 2009;27:2121-58)。最も注目されるのは、高リスク患者に対する降圧目標である「130/80mmHg未満」の見直しといえるだろう。
糖尿病患者、心血管疾患既往例に対する降圧目標は、「140/85mmHg未満、限りなく130/80mmHgに近く(it may be prudent to recommend lowering SBP/DBP to values within the range 130-139/80-85mmHg, and possibly close to lower values in this range)」に改定された。
第20回欧州高血圧学会(6月18~21日、開催地:オスロ)3日目、ESHと米国高血圧学会(ASH)の共同セッション「ガイドラインの礎」では、Giuseppe Mancia氏(イタリア・Milano-Bicocca大学)が改定ガイドラインの内容について説明した。
ハイリスク者の降圧目標については、「130/80mmHg未満への降圧が有用性を否定されたわけではないが、積極的に推奨するにはエビデンスが少ないことが明らかになった」ことが、その理由だという。
Mancia氏はまず、糖尿病合併高血圧患者に対する降圧療法を概説した。収縮期血圧(SBP)が130mmHg未満まで低下し、さらに心血管イベントの減少も報告されているランダム化比較試験(RCT)は、ABCD Normotensiveだけだった(図1)。