
グラスゴー大学のWeiling Sarah氏
降圧薬の併用療法は、高血圧患者の多くで必要となる。しかし予後改善の観点からどのような併用療法が最適なのか、現時点では限られたエビデンスしかない。今回、Glasgow Blood Pressure Clinicに登録されている約5500症例を対象とした検討から、生命予後改善の観点からはレニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬と利尿薬の併用が最も好ましい可能性が示された。英国グラスゴー大学のWeiling Sarah氏が、第20回欧州高血圧学会(6月18~21日、開催地:オスロ)初日の口演セッションで報告した。
本解析の対象となった症例は、1968年以降、Glasgow Blood Pressure Clinicのデータベースに登録されている高血圧患者1万2000例中、RA系抑制薬(A)、β遮断薬(B)、Ca拮抗薬(C)、利尿薬(D)の少なくともいずれかを2年以上継続して服用し、追跡期間が5年間以上(最長40年間)だった5467例。
年齢、性別、体格指数(BMI)、喫煙状況、追跡開始時の血清コレステロール値、降圧度、合併症で補正した後、服用している降圧薬別に総死亡のリスクを比較した。
追跡期間中、1266例が死亡した。死亡リスクをCox比例ハザードモデルで検討したところ、最も低かったのはRA系阻害薬+利尿薬(AD)群で、4剤併用群を基準としたハザード比(HR)は0.63(95%信頼区間[95%CI]:0.40-0.99)だった。逆に死亡率が最も高かったのはβ遮断薬+利尿薬群(BD)群で、HRは2.70(95%CI:2.18-3.33)となった(図1)。Sarah氏によれば、心血管系死亡で検討しても同様の結果だったという。