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日本腎臓学会2010
慢性腎不全への経口吸着剤、5年間の長期成績良好
透析導入、脳・心血管イベント発生などが2~3年後から有意減少

2010/07/08
高橋 浩=メディカルライター

新松戸中央総合病院の中村司氏

 経口吸着剤AST-120(商品名クレメジン)は、慢性腎臓病(CKD)患者に対して、腎機能低下抑制による透析導入遅延効果や生命予後改善効果があるとされる。外来を受診するCKD患者を対象にした5年間の長期投与成績の検討から、AST-120は2~3年以上の長期投与によって明らかな透析導入遅延効果や生命予後改善効果を期待できることが分かった。

 新松戸中央総合病院(千葉県松戸市)腎臓内科の中村司氏が第53回日本腎臓学会学術総会(6月16~18日、開催地:神戸市)で発表した。

 今回中村氏が検討対象にしたのは、2003年に自院通院中で5年間の追跡が可能だった慢性腎不全(CKDステージ4~5)患者。AST-120投与群と非投与群の間で、透析導入、死亡、心血管イベント(心筋梗塞、狭心症)、脳卒中(脳梗塞、脳出血)の発生に差があるかを比較検討した。ただ今回は後向きの検討であり、投与は医師や服用しやすさに基づく患者の判断に基づいたものでランダム化はされていない。

 投与群(128例)と非投与群(150例)でベースライン時の検査値や患者背景を比較すると、投与群で年齢が有意に若く(62.9歳 vs. 65.6歳、P=0.02)、尿量が少なかった(1515.6 mL/day vs. 1617.3 mL/day、P=0.002)。

 だが、これ以外の糖尿病合併率(投与群:32.8% vs. 非投与群:45.3%)、CKDステージ(ステージ4比率で57.8% vs. 60.7%)、レニン・アンジオテンシン系抑制薬投与率(73.4% vs. 69.3%)、スタチン投与率(52.5% vs. 55.3%)、推算糸球体濾過量(16.6 mL/min vs. 16.6 mL/min)、血清クレアチニン値(3.0 mg/dL vs. 2.9 mg/dL)、血圧値(138.3/77.6 mmHg vs. 137.7/79.1 mmHg)などに有意差はなかった。
 

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