日経メディカルのロゴ画像

日本腎臓学会2010
糖尿病腎症の脳心血管イベントをARBが抑制
LBCTセッションでORIENT試験からの知見を今井氏が総括

2010/07/05
高橋 浩=メディカルライター

名大の今井圓裕氏

 日本人を含むアジア人で顕性腎症に至った2型糖尿病患者を対象に、アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARBオルメサルタンの有効性・安全性を検討した二重盲検ランダム化比較試験ORIENT(Olmesartan Reducing Incidence of End stage renal disease in diabetic Nephropathy Trial)からこれまでに得られた知見について、第53回日本腎臓学会学術総会(6月16~18日、開催地:神戸市)LBCTセッションで名大腎臓内科の今井圓裕氏が総括した。

 2004年、2型糖尿病に伴う腎症へのARB投与は、アジア人でより有効性が高いと考えられるデータが明らかになった。世界28カ国が参加した国際共同臨床試験RENAAL(Reduction of Endpoints in NIDDM with the Angiotensin II Antagonist Losartan)で、日本人を含むアジア人についてサブ解析を行ったところ、ARBは複合1次エンドポイント(血清クレアチニン[Cr]値2倍化、末期腎疾患[ESRD]、死亡)のリスクを35%低下させ、RENAAL試験全体のリスク低下率16%を大きく上回った。ORIENT試験はこのデータを踏まえ、日本人を含むアジア人の顕性腎症に至った2型糖尿病患者を対象として企画された。

 糖尿病腎症に対するARBの有用性は、さまざま腎機能レベルの患者を対象に検討されているが、ORIENTでは顕性蛋白尿を伴う症例を対象とした。オルメサルタン群、プラセボ群に無作為に割り付け、5年間投与した。

 オルメサルタン群(282例)とプラセボ群(284例)の患者背景を比較すると、心血管疾患の既往がオルメサルタン群21.3%、プラセボ群11.6%と、オルメサルタン群で有意に高率だった。両群の収縮期血圧は約141mmHg、拡張期血圧は約77mmHg、血清Crは約1.62mg/dL、HbA1cは約7%で、いずれも有意差はなく、全般に高い水準の治療を受けている症例と考えられた。試験開始前からACE阻害薬を服用している場合は同一用量を継続することとしたが、その服用率は両群とも約73%だった。

 このような被験者に対する平均3.2年間のフォローアップから、以下のような結果が得られた。

腎機能および腎イベント

 まず、腎臓に関しては、尿蛋白がオルメサルタン群で約30%、有意に低値を示した。プラセボ群との差は、特にACE阻害薬非併用例で顕著だった。腎機能低下速度の指標となる血清Cr値の逆数の傾きは、オルメサルタン群で有意に緩やかだった。しかし、主要評価項目である腎複合エンドポイント(血清Cr値2倍化、ESRD、死亡)の発生率は、オルメサルタン群とプラセボ群で有意差が見られなかった。

 そこで、血清Cr値の逆数の傾きで-0.1 dL/mg/yearを境に、腎機能低下速度の速いグループと遅いグループに分けて比較したところ、速いグループでは両群間で差が見られなかったが、遅いグループではオルメサルタン群の腎機能低下速度がプラセボ群より遅くなることが示された。また、腎複合エンドポイントの90.6%は腎機能低下速度の速いグループで起こっていたことも分かった。
 

この記事を読んでいる人におすすめ