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日本糖尿病学会2010
進行CKD合併2型糖尿病患者への経口吸着剤
QUAYを延長しながら生涯費用を300万円近く削減

2010/06/21
高橋 浩=メディカルライター

京大大学院の林野泰明氏

 経口球形吸着炭AST-120(商品名クレメジン)は、慢性腎臓病CKD)患者の腎機能低下を抑制し、透析導入を遅らせる。京大大学院医療疫学の林野泰明氏らは、進行したCKDを有する2型糖尿病患者に使用した場合の費用対効果を検討。

 生活の質で調整した余命を延長しながら、患者当たりの生涯費用を300万円近く削減できることを、第53回日本糖尿病学会年次学術集会(5月27~29日、開催地:岡山市)で報告した。

 今回、林野氏らは、CKDステージ3または4で60歳の2型糖尿病患者を想定し、AST-120の費用対効果を検討した。

 検討に際し、腎合併症の自然歴のモデルを基に、AST-120によるリスク低減効果をシミュレートしたマルコフモデルを作成した。マルコフモデルとは、健康状態をいくつかのステージに分け、それぞれのステージ間を1年間に移行する確率を基に、長期間の生命予後と医療費を推定するモデルである。

 腎症が末期腎不全(ESRD)へと進行する確率は、CKD患者に対するAST-120の効果を1年間にわたって検討した、わが国の大規模無作為化比較試験(RCT)であるCAP-KD(Carbonaceous oral Adsorbent's effectiveness on Progression of Chronic Kidney Disease)のものを利用した。

 CAP-KDに参加した2型糖尿病患者(平均年齢66歳、平均クレアチニンクリアランス[Ccr]:27.1mL/min)について、AST-120投与群とコントロール群における腎機能の年間低下率を算出し、CAP-KD登録患者のベースラインのCcrに外挿した。Ccr<10mL/minの場合に、ESRDに至ったと仮定した。
 

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