日経メディカルのロゴ画像

日本糖尿病学会2010
ARBの腎保護作用、腎機能低下速度により違いが
糖尿病腎症を対象としたORIENT試験のサブ解析から

2010/06/14
編集部

旭川医大の羽田勝計氏

 アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)には糖尿病性腎症に対する腎保護作用が知られているが、この作用は腎機能の低下速度などによって違いがあることが明らかとなった。第53回日本糖尿病学会年次学術集会(5月27~29日、開催地:岡山市)で、旭川医大内科学病態代謝内科学分野の羽田勝計氏が発表した。

 顕性腎症を伴うハイリスク2型糖尿病患者を対象に、ARBオルメサルタンによる腎症進展抑制効果や心血管イベント抑制効果を見たORIENT試験のサブ解析の結果だ。

 ORIENT試験の対象者は、顕性蛋白尿を呈する日本と香港の2型糖尿病患者566例。オルメサルタンを10mgから開始し、最大40mgまで増量するオルメサルタン追加投与群(282例)とプラセボ群(284例)に割り付け、最長5年間(平均3.2年)追跡した。両群ともCa拮抗薬や利尿薬など降圧治療を受けており、またACE阻害薬を投与されていた患者はそのまま継続可とされた。

 主要評価項目は、血清Cr値の倍化、末期腎不全(血清Cr値5.0mg/dL以上、透析、腎移植)、死亡の腎複合イベント。副次評価項目は、(1)脳心血管複合イベント(心血管死や非致死性脳卒中、非致死性心筋梗塞、不安定狭心症や心不全による入院、冠動脈・頸動脈・末梢血管の血行再建術施行、壊疸による下肢切断)、(2)尿蛋白の変化率、(3)腎機能の低下速度(血清Cr値の逆数[1/Cr]の推移で評価)──の3点だった。

 両群の患者背景に、心血管の既往症・合併症以外は有意な差はなく、平均収縮期血圧/拡張期血圧はオルメサルタン群141.7/77.8mmHg、プラセボ群140.8/77.2mmHg、HbA1c値はオルメサルタン群7.11%、プラセボ群7.05%、尿蛋白/クレアチニン比は、オルメサルタン群2190.08mg/gCr、プラセボ群2047.05mg/gCr。ACE阻害薬は両群とも7割が併用していた。

 ORIENT試験では副次評価項目である脳心血管複合イベントにおいて、オルメサルタン群で有意に発生率が低く(ハザード比0.64、P=0.039)、尿蛋白の変化率もプラセボ群が増加していたのに対してオルメサルタン群は有意に減少。腎機能の低下速度についても、オルメサルタン投与群が有意に減少していた。しかし、主要評価項目である腎複合イベントについては、オルメサルタン群とプラセボ群で差が見られなかった。

 今回、羽田氏らは、オルメサルタン投与により腎機能低下速度や尿蛋白が減少したにもかかわらず腎複合エンドポイントで有意差が見られなかった背景には、腎機能が急速に低下してしまうような症例ではARBによる腎保護効果が得られにくいためではないかと推測し、腎機能低下速度別にサブ解析を行った。

 

この記事を読んでいる人におすすめ