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STROKE2010
代謝性疾患の重複で脳梗塞リスクが著明上昇
メタボにLDL-C高値が加わると3倍、糖尿病の合併では5倍に

2010/05/18
高橋 浩=メディカルライター

九大大学院の土井康文氏

 メタボリックシンドローム(MetS)と低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)高値が重なると非塞栓性脳梗塞の発症リスクは3倍以上に、MetSと糖尿病が重なると脳梗塞の発症リスクは5倍以上に高まることが、久山町研究のデータ解析より明らかとなった。第35回日本脳卒中学会総会(4月15~17日、開催地:盛岡市)で、九大大学院病態機能内科学の土井康文氏が報告した。

 久山町研究は、福岡県久山町の40歳以上の住民を対象としたコホート研究で、1961年からの第1集団、74年からの第2集団、88年からの第3集団、および2002年からの第4集団に分けて追跡調査を行ってきた。

 このうち第1~第3集団、それぞれ12年間の追跡における脳梗塞の発症率の推移を見ると、男女とも第1、第2、第3集団の順で有意な低下が認められたが、第1集団から第2集団にかけての低下よりも、第2集団から第3集団にかけての低下の方が鈍かった。特に女性で、鈍化が顕著だった。

 一方、第1集団から第4集団へと、時代が進むに従い、肥満、高コレステロール血症、耐糖能異常の頻度は明らかに上昇した。土井氏らは、こうした代謝異常の増加が脳梗塞発症率低下の鈍化に影響している可能性があると推察。今回は第3集団(2567人)を88~02年の14年間追跡したデータを用いて、脳梗塞と代謝性疾患の関連を検討した。

 まず、BMIを4分位し、各因子で調整した脳梗塞発症の相対危険度(RR)を見たところ、BMIが高い群ほどRRが高値を示した。BMIが最も低い群(~20.5kg/m2)を1とした場合、最も高い群(24.9kg/m2~)のRRは男女とも約1.6で、有意差を認めた。ちなみに、虚血性心疾患のRRでも同様な結果が得られた。

 MetSに関しては、腹囲の扱いやカットオフ値が異なる5つの基準で検討した。いずれの基準でも、MetSあり群がMetSなし群に比べて、脳血管障害を含めた心血管疾患発症のRRは男女とも有意に上昇していた。

 5基準の中で最も高いRRを示したのは、日本の基準で腹囲を男性90cm以上、女性80cm以上に修正したもの(修正日本基準)だった。脳梗塞に限った場合でも、MetSあり群のRRは男性3.1、女性2.2で、MetSなし群に比べて有意に高かった。虚血性心疾患のRRも、MetSあり群がMetSなし群に比べて有意に高値を示した。

 

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