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STROKE2010
脳梗塞急性期のtPA静注、0.6mg/kgで十分な効果
遅発性再開通も良好な転帰に寄与

2010/05/17
高橋 浩=メディカルライター

東北大大学院の森悦朗氏

 脳梗塞急性期再開通療法としての組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)静注療法は、わが国では2005年10月に承認された。根拠となった国内第III相臨床試験「J-ACT」(Japan Alteplase Clinical Trial)では、投与量が0.6mg/kgに設定されており、それが承認用量となった。

 だが欧米では0.9mg/kgが標準用量とされていることから、0.6mg/kgでの効果を疑問視する声も少なくなかった。これに対し最近行われた市販後第IV相試験「J-ACT II」から、少なくとも日本人においては、0.6mg/kgで十分な効果が得られることが確認された。

 STROKE2010(第35回日本脳卒中学会総会、第39回日本脳卒中の外科学会、第26回スパズムシンポジウムの合同開催、4月15~17日、開催地:盛岡市)の合同シンポジウム「脳梗塞急性期再開通療法」で、東北大大学院高次機能障害学の森悦朗氏が報告した。

 わが国の0.6mg/kgという用量は、必ずしも十分な科学的根拠があるわけではない。だが森氏によれば、欧米の0.9mg/kgという用量も、大規模臨床試験により有効性は確認されているものの、安全性を含めた設定の根拠は不十分といわざるを得ないという。

 tPA静注療法を承認する際、厚生労働省は条件を2つ付けた。2年間の市販後調査と、0.6mg/kgの有効性、安全性を再確認する試験である。後者に該当する試験が、多施設前向きコホート研究の形で行われた、J-ACT IIだ。

 発症3時間以内、MRアンギオグラフィー(MRA)で中大脳動脈(MCA)閉塞と診断された患者に対してアルテプラーゼ0.6mg/kg静注を行い、その有効性と安全性を検討した。エンドポイントは、再開通、臨床転帰良好(modified Rankin Scale:mRSで0~1)および症候性頭蓋内出血。結果は、今年のStroke誌3号に発表された。

 J-ACT IIで解析対象となった58例の平均年齢は70.3歳。投与開始時間は発症後平均134分、NIH Stroke Scale(NIHSS)は中央値12だった。

 

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