日経メディカルのロゴ画像

日本血栓止血学会2010
改定VTE予防ガイドライン、その方向性が明らかに
リスクレベルは4段階を維持、胸部外科や心臓外科など追加

 日本血栓止血学会などが改定を進めている「静脈血栓塞栓症(VTE)予防ガイドライン」の概要と、改定作業の進捗状況が明らかになった。三重大循環器腎臓内科学の山田典一氏が、日本血栓止血学会第33回学術集会(4月22~24日、開催地:鹿児島市)で発表した。現在のVTE予防ガイドラインは2004年に公表されたが、その後VTE予防に適応のある新薬が登場し、日本人を対象とした臨床成績も集積したため、改定が必要になった。

 新しいガイドラインは総論、特論(局部麻酔関連)に加え、一般外科領域や整形外科領域などの各論で構成される。現在、関連する23の学会・研究会から参加する40人の委員が中心となって、改定作業を進めている。現在は「各委員が領域ごとに分かれて、ガイドラインで採用する論文を収集している段階」(山田氏)という。

 今回の改定では、取り扱う領域が増加している。胸部外科、心臓外科などを追加し、これまで内科疾患に含めていた癌、集中治療は独立した領域とした。さらに、海外のガイドラインにはない精神・神経科領域も追加する。精神・神経科領域においてもVTEが高頻度でみられるという、日本人を対象としたデータが出てきたためだ。

 入院患者のリスクレベルについては、これまで通り「低」「中」「高」「最高」の4段階に分類する見通しだ。改定作業でよく参照する米国胸部疾患学会(ACCP)のVTE予防ガイドライン第8版(08年改定)では、リスクレベルを4段階から「低」「中」「高」の3段階に変更し、中リスクから原則として薬物療法を推奨している。これを受け今回の改定作業でも議論されたが、山田氏によれば、「日本では、VTE予防ガイドラインがようやく普及してきた段階。現場の混乱を招かないよう、4段階を維持することになりそうだ」とのことだ。

 総論では、各リスクレベルに相応するVTE発生頻度を評価して表形式にまとめる。前回は中リスクでは「弾性ストッキングあるいは間欠的空気圧迫法(IPC)、高リスクでは「IPCまたは抗凝固療法」など、推奨される予防法を併記していたが、今回は予防法は表中には加えない方針という。「表だけを見て、患者背景を考慮せずに治療方針を選択してしまい、結果的に合併症の発生頻度が高まるという危惧があった」と山田氏は指摘する。

 各論では、リスクレベルに相応する手術処置があるかどうかを記載する。文章で個々の細かい注意事項を勧告する形式にする。

 

この記事を読んでいる人におすすめ