
国立循環器病研究センターの佐久間聖仁氏
院外発症の静脈血栓塞栓症(VTE)の危険因子は院内発症例と異なり長期臥床や活動性ガンであること、また院外発症の深部静脈血栓症(DVT)では疼痛、腫脹、色調変化などの症状を有する例の多いことが分かった。国立循環器病研究センター心臓血管内科の佐久間聖仁氏が、第107回日本内科学会講演会(4月9~11日、開催地:東京)で報告した。
対象症例は、2009年2~3月の2カ月間における新規発症のVTE症例。全国医療機関へアンケートを実施し、前向きに登録した。解析は、症例と同じ性別・年齢(年齢差5歳以内)の対照者をペアにすることで、より精度高く有意差を検定できるmatched case-control studyで行った。
解析の対象となった症例は院外発症が明らかな230例(230ペア、女性61%)で、病型の内訳は肺塞栓(PE)単独が26例、DVT単独が127例、両者合併(PE/DVT)が77例だった。
単変量解析では3日以上の長期臥床(オッズ比[OR]:2.89、95%信頼区間[95%CI]:1.31-7.01、P=0.006)と活動性ガン(OR:6.17、95%CI:2.58-17.87、P<0.0001)が、有意な院外発症VTEの危険因子となった。最近の外傷・骨折も、院外発症DVTを増加させる傾向にあった(OR:2.67、95%CI:0.99-8.32、P=0.052)。
これに対して肥満、最近の大手術、糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙、飲酒は、院外発症VTEの有意な危険因子とはならなかった。
多変量解析でも、長期臥床(OR:2.53、95%CI:1.11-6.30、P=0.02)と活動性ガン(OR:5.75、95%CI:2.39-16.74、P<0.0001)が、独立した危険因子になった。