
記者発表に臨む東大大学院の門脇孝氏(右)と山内敏正氏
アディポネクチンは骨格筋に対して運動と同様の効果を発揮することが、分子レベルでの作用機序の解明から明らかになった。骨格筋で主に発現しているアディポネクチン1型受容体の活性化薬が実現すれば、その投与により運動と同様の効果が得られ、メタボリックシンドロームやインスリン抵抗性、2型糖尿病などの発症予防・治療効果も期待できるという。
東大大学院糖尿病・代謝内科教授の門脇孝氏、同大大学院統合的分子代謝疾患科学講座・特任准教授の山内敏正氏らのグループによる論文が日本時間の4月1日、Nature誌オンライン版に早期公開された。
肥満やメタボリックシンドロームからインスリン抵抗性が惹起され2型糖尿病に至る段階では、骨格筋ミトコンドリアの量的・機能的な活性低下による糖・脂質代謝能の低下が起こっている。
その骨格筋ミトコンドリアではPGC-1αという蛋白が、糖・脂質代謝、赤筋の生合成、ミトコンドリア構成蛋白の合成といった主要な役割を担っているが、その詳細はよく分かっていない。
今回、門脇・山内氏らのグループは、骨格筋ミトコンドリア内での糖・脂質代謝にアディポネクチンがどう作用しているかを解明するため、骨格筋特異的にアディポネクチン1型受容体が欠損したモデル動物を開発。それらを用いた検討を行った。