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日本循環器学会2010
急増する臨床試験、そのエビデンスを正しく解釈するために
試験デザインと長所・短所の理解が必要に

2010/03/30
軸丸 靖子=医療ライター

 循環器領域におけるわが国発の臨床試験が近年増加し、得られたエビデンスが国内外の臨床現場に還元される機会も増えている。日本人を対象としたエビデンスが蓄積されるようになった一方で、そもそもの試験デザイン自体が抱える問題点や、結果が正確に伝達されないという新たな課題も指摘され始めた。

 第74回日本循環器学会総会・学術集会(3月5~7日、開催地:京都市)のシンポジウム「蓄積された日本人のEBM」では、エビデンスの正しい評価には何が必要か議論された。

 滋賀医大生活習慣病予防センターの上島弘嗣氏によると、因果関係が立証されたエビデンスの構築には、(1)観察研究から介入研究までの結果に整合性があること、(2)生理学など他の医学分野の知見とも整合性があること、(3)くり返し同じ成績が得られること――という3点が求められるという。

 しかし、「高血圧と食塩」のように立証された因果関係がある一方で、「コレステロールと脳卒中」のように観察研究と介入研究の結果が乖離する場合もある。立証を難しくする要因の1つが、介入研究で生じるバイアスだ。

 わが国で行われる比較介入試験はPROBE (Prospective Randomized Open-label Blinded End-point Evaluation)法で行われることが多い。だが試験開始時から使用薬剤が明らかになっている同法では、バイアスが入りやすいという短所がある。

 試験がランダム化されてもこの短所は同じだ。上島氏によると、死亡などのいわゆる「ハードエンドポイント」ではオープンラベルであってもバイアスはかからないが、入院や心不全、狭心症の発作といった「ソフトエンドポイント」では、バイアスがかかりやすい。

 上島氏は、「コカコーラがおいしいか、ペプシコーラがおいしいかの答えを出すには、二重盲検でなければバイアスが入る。降圧薬の臨床試験も同じで、PROBE法は解決策ではない。介入研究に際しては、エンドポイントを遮蔽してもフロントラインでのバイアスは是正できないことを考えておく必要がある」と提言した。

 

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