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日本循環器学会2010
通院hANP療法で慢性心不全患者の在宅期間が延長
次回入院までの期間が3倍以上に延び、医療費も軽減

2010/03/26
軸丸 靖子=医療ライター

岩手県立中央病院の三浦正暢氏

 慢性心不全(CHF)患者に対して通院時に心房性ナトリウム利尿ペプチドhANP、一般名カルペリチド)の点滴治療を行うことで、次回入院までの期間を延長させることができたと、岩手県立中央病院循環器科の三浦正暢氏が第74回日本循環器学会総会・学術集会(3月5~7日、開催地:京都市)で発表した。

 急性心不全およびCHFの急性増悪期の治療薬であるhANPは、経験的にCHFの治療にも用いられることがある。三浦氏らは、自院のCHF患者で定期通院時にhANPの点滴治療を行った15例について、その効果と安全性、実効性を検討した。

 検討期間は2007年12月~09年6月で、hANPは毎回の通院時に約5時間かけて、0.03μg/kg/minで投与した。必要に応じてフロセミド(20mg)またはカテコラミン(ドパミン、平均3μg/kg/min)を追加した。

 対象症例15例(うち男性11例)は平均79±10歳、NYHA分類は平均2.5±0.5度で、合併症として10例に高血圧、3例に糖尿病、6例に心房細動があった。hANPの投与理由は、高齢(85~95歳、4例)、繰り返す入院(3~10回、4例)などだった。点滴回数は15例で計104回、1例平均6.9±3.8回で、平均10.7±4.1日おきに実施した。

 hANPの投与により血圧は有意に低下した。hANPのみを点滴した場合(計74回)、点滴前の113.4/64.8mmHg(収縮期平均血圧/拡張期平均血圧、以下同様)が点滴後には105.2/61.1mmHgと、収縮期(P<0.001)、拡張期(P<0.01)ともに有意に低下した。

 フロセミドを加えた場合(計18回)も同様で、116.1/74.2mmHgから103.3/64.2mmHgへ低下した(収縮期:P<0.001、拡張期:P<0.05)。フロセミドとドパミンを加えた場合(計10回)は96.1/67.1mmHgから93.6/59.3mmHgと、拡張期のみ有意に低下した(P<0.05)。

 血圧低下による治療中止は104回の点滴中5回(4.8%)、15例中2例で発生した。心拍数に有意な変化はなかった。

 

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