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日本循環器学会2010
T-U波の形態変化がベプリジルによる心室性不整脈を予測
安定的に投与している時期から二相性・陰性波が高頻度で出現

2010/03/24
軸丸 靖子=医療ライター

 抗不整脈薬の1つであるベプリジル(商品名ベプリコール)では、torsades de pointes(Tdp)を含む心室性不整脈が報告されており、投与をためらう一面がある。

 ベプリジル投与中に心室性不整脈を起こした症例では、安定的に投与している時期からT-U波の形態変化が高頻度で見られており、それが心室性不整脈発生の予測因子となることが明らかになった。北里大循環器内科の黒川早矢香氏が、第74回日本循環器学会総会・学術集会(3月5~7日、開催地:京都市)で報告した。

 Tdpを予測する一般的な心電図所見はQT延長だが、ベプリジル治療中はT波終点が分かりにくくQT時間の測定が困難になる症例があるほか、TdpハイリスクとなるQT時間のカットオフ値も明確ではない。

 今回黒川氏らは、ベプリジル(100~200mg/日)を投与した113例について、治療中に心室性不整脈(心室細動、Tdp、症候性の非持続性心室頻拍)を起こした「イベント群」と起こさなかった「非イベント群」との間で、臨床的背景、血液生化学、心エコー所見、12誘導心電図所見に差があるかを比較検討した。

 心電図検査はベプリジル投与中は4~8週ごとに行い、投与前、安定的に8週間投与できた時点(安定内服期)、心室性不整脈発生時(イベント時)で評価した。

 心室性不整脈は6例に発生した。このイベント群と非イベント群(107例)との間で、年齢、性別、器質的心疾患の有無、ベプリジル投与量や併用薬剤、肝・腎機能および電解質、心エコー所見に、有意な違いはなかった。

 心電図所見の中でまずQT時間は、非イベント群でも、投与前(0.41秒)に比べ安定内服期(0.49秒)で有意に延長していた(P<0.0001)。一方イベント群では、投与前(0.46秒)と安定内服期(0.54秒)との間に有意な差はなかったが、イベント時(0.64秒)は投与前に比べ有意に延長していた(P<0.05)。

 補正QT時間(QTc)も同様で、非イベント群では投与前(0.45秒1/2)に比べ安定内服期(0.49秒1/2)で有意に延長(P<0.0001)、イベント群では投与前(0.49秒1/2)と安定内服期(0.53秒1/2)との間に有意差はなく、イベント時(0.70秒1/2)が投与前に比べ有意に延長していた(P<0.05)。また、投与前のQTcは、イベント群と非イベント群の間に有意差を認めた(P=0.028)。

 QT時間のばらつきを示すQT dispersionも、非イベント群では投与前に比べ安定内服期で有意に増大していたが(P<0.0001)、イベント群では有意でなかった。

 ベプリジル投与前の心室ぺーシングや脚ブロックによるwide QRS波の出現も、非イベント群では17%と少なかったのに対し、イベント群では50%と有意に多かった(P=0.042)。

 

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