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日本心臓血管外科学会2010
非閉塞性腸管虚血を疑う乳酸値の変動パターン判明
術後最大値5.0mmoL/L以上かつ上昇度2.5mmoL/L以上の症例は要対応

2010/03/08
高橋 義彦=医学ライター

倉敷中央病院の渡邊隼氏

 非閉塞性腸管虚血(NOMI)は、頻度は低いものの早期診断が難しく、予後は極めて不良であることから、心大血管手術合併症の1つとして問題となっている。

 このNOMIを疑う検査所見として、「術後12~72時間における乳酸値が最大5.0mmoL/L以上、かつ直近値から2.5mmoL/L以上の上昇」が有用であることが明らかになった。第40回日本心臓血管外科学会学術総会(2月15~17日、開催地:神戸市)で、倉敷中央病院心臓血管外科の渡邊隼氏らが報告した。

 急性腸管虚血の大半は、塞栓または血栓が原因の動脈閉塞による閉塞性腸管虚血だ。全身の低灌流状態、血流再分布から誘発される腸間膜動脈の攣縮が原因になると見られるNOMIは、急性腸管壊死の10~30%程度と報告されている。

 心大血管手術後のNOMI発症頻度は0.2~2%と、決して多いものではない。しかし早期診断が難しいため、診断できたときは既に非可逆的な状態に進行しており、救命し得ないことがほとんどだ。上腸間膜動脈(SMA)への血管拡張薬持続注入などの早期治療が救命につながる可能性も指摘されていることから、早期診断の確立が強く望まれていた。

 NOMIの診断にはSMAの血管造影が不可欠だが、それを決断させるに足る顕著な所見に乏しいのが問題。腹痛は非特異的である上、認められない症例も20~30%に及ぶ。大腿部などの皮膚異常(大理石紋様)は重要な所見だが、既に末梢の循環不全を起こしている状態を意味する。

 比較的早期の唯一ともいえる客観的所見が乳酸上昇だが、心大血管手術後は体外循環などの影響で非特異的に上昇することもある。乳酸上昇の特徴をNOMI非発症例と比較する研究が必要になる。

 

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