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日本心臓血管外科学会2010
TASC D型の腸骨動脈CTO病変は外科治療で
血管内治療で血行再建した症例も、後に高率でバイパス術を実施

2010/03/03
高橋 義彦=医学ライター

東京歯科大市川総合病院の原田裕久氏

 下肢慢性閉塞性動脈疾患の治療指針として、国際的なコンセンサスであるTASC(Trans Atlantic Inter-Society Consensus)が広く知られている。そのTASCで腸骨動脈病変の血行再建術に関しては、病変の部位、狭窄の程度などから見て最も複雑なTASC D型にはバイパス術が推奨されている。しかし最近は、慢性完全閉塞CTO)症例を含め、D型でも血管内治療を選択する施設も増えてきた。

 これに対して東京歯科大市川総合病院血管外科の原田裕久氏は第40回日本心臓血管外科学会学術総会(2月15~17日、開催地:神戸市)で、自院で治療したD型CTO症例を分析。最初からバイパス術を選択した症例を含め、半数以上で最終的にバイパス術が行われていたことから、「D型でCTOを有する症例には、まずバイパス術を考慮すべき」と強調した。

 TASCは、病変の部位・程度などからA~Dの4型に分類し、それぞれの治療指針を示している。2000年に発表されたTASC Iでは、以下のような勧告がなされた。

 総腸骨動脈(CIA)または外腸骨動脈(EIA)の3cm未満の狭窄が1カ所であるA型は、血管内治療が最も適している。3~10cmの狭窄病変が1カ所、片側性CIA閉塞などのB型は血管内治療が好ましい。総大腿動脈(CFA)まで広がっていない閉塞性EIA狭窄または閉塞などのC型はバイパス術が好ましい。CIA、EIA、CFAのびまん性で多発性の片側性狭窄、両側性EIA閉塞などのD型は、バイパス術が最も適している。

 しかし、TASC I発表後、血管内治療は大きく進歩し、その適応がより重症度の高い症例へと広がってきた。これを受け、07年に発表されたTASC IIでは、C型でも部位や狭窄の程度により血管内治療の適応になるとの考え方が示された。

 ただし、D型に対する血管内治療は、TASC IIでも推奨されていない。実際にはD型でも血管内治療を行うことが増えているが、CTO病変、特にD型に分類される症例は、血管内治療の長期成績が不良であるため適応にすべきではないとする意見も根強い。

 

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