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血管内皮形成を促すタミバロテン溶出ステント
NIMS・東大ら開発、術後慢性期の抗血小板薬投与が不要となる可能性も

2010/02/22
大滝 隆行

 独立行政法人物質・材料研究機構(NIMS)生体材料センターは東大循環器内科、ニプロと共同で、抗血栓性と血管内皮形成機能を併せ持つ新しい薬剤溶出ステントDES)の開発に成功した。同センター主幹研究員の田口哲志氏が、第9回NIMSフォーラム(2月17日、開催地:東京)で発表した。

 従来、DESに使われている薬剤徐放用高分子マトリックスは生体親和性が低く、留置後生体内に長く残存したり、分解時にpHを低下させることにより弱い炎症を長期間にわたり引き起こしたりすることが指摘されていた。

 そのため、ステント留置部の血管壁の治癒や新生内膜形成を阻害し、時に血栓形成による血管閉塞を生じることがある。これを予防する目的で、術後少なくとも6カ月間はアスピリンとチエノピリジン系薬を併用投与し、その後もアスピリンを永続的に投与しなければならない。

 そこで研究グループは、クエン酸から合成した架橋剤(トリスクシンイミジルシトレート:TSC)とアルカリ処理ゼラチンから構成され、抗血栓性と内皮細胞の接着性に優れる新しい薬剤徐放用高分子マトリックス(AlGelatin-TSC)を開発した。

 実際、抗血栓性評価実験を行ったところ、市販のグルタルアルデヒドによって調製された高分子マトリックス(AlGelatin-GA)の場合、血栓形成が認められたのに対し、AlGelatin-TSCの場合、血栓形成は全く認められなかった。

 また、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)の接着性を評価した結果、AlGelatin-GAではHUVECの接着性がほとんど認められなかったのに対し、AlGelatin-TSCでは高い細胞接着性が認められた。

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