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Complex Cardiovascular Therapeutics(CCT)2010
経皮的大動脈弁置換術(TAVI)、わが国初の症例を報告
潜在的な対象患者は1万人以上と推計

2010/02/19
中西 美荷=医学ライター

阪大心臓血管外科の島村和男氏

 CCT2010(1月28~30日、開催地:神戸市)のシンポジウム「the forefront of transcatheter therapy of aortic valve disease」で、昨年10月にわが国で初めて行われた経皮的大動脈弁置換術(transcatheter aortic valve implantation;TAVI)2例の手技詳細を、阪大心臓血管外科の島村和男氏が術中ビデオに基づき解説。さらに阪大循環器内科の中谷敏氏がわが国の大動脈弁狭窄症(AS)の状況を、次いでスペイン・Hospital Clinico San CarlosのEulogio Garcia氏が欧州のTAVIの現状について講演した。

 近年、加齢変性による動脈硬化を原因としたASが増加しており、高齢化社会において無視できない疾患となっている。いったん症状が出現すると急速に悪化し、その予後は不良である。大動脈弁置換術(AVR)によって自覚症状、左室機能、生命予後の改善を得ることが可能だが、高齢者や併存疾患を有する高リスク患者など、外科治療の適応外となる患者も少なくない。こうした患者を中心に、欧米ではより低侵襲の手技としてTAVIが急速に普及している。Garcia氏によれば、施行例は既に9000例を超えているという。

 デバイスとして欧州でCEマークを取得しているのは、ステンレス製のバルーン拡張性ステントとウシ心外膜製の弁が一体となったEdwards SAPIENと、自己拡張性でブタ心外膜を用いたCore Valveの2つ。

 手技成功率は99%に迫り、術後30日時点の総死亡率は10%前後と中期成績は良好で、長期成績にも期待が寄せられている。シースの小径化など、デバイスの改善も積極的に進められ、開発中の新機種も8種類ほどに上る。

 こうした中、わが国でもようやくTAVIの臨床応用が始まった。阪大で行われた最初の症例は、2005年から重症ASを指摘され、NYHA IIの心不全症状を有する81歳の女性だった。Logistic Euroscoreは13.1%だったが、高齢であることに加え、重症の間質性肺炎を合併しており、術後の呼吸器障害遷延が予測されたことから、外科的AVRは困難だと考えられた。そこでEdward SAPIENを用い、経大腿動脈(TF)アプローチにてTAVIを施行。手術時間は2時間16分、無輸血だった。

 

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