
京大大学院の丸井晃氏
第23回日本冠疾患学会学術集会(12月18~19日、開催地:大阪市)外科内科合同シンポジウム「左主幹部・多枝病変に対する治療選択」で京大大学院心臓血管外科の丸井晃氏は、CREDO-kyotoレジストリーのデータを用いて日本人患者における左冠動脈主幹部(LMT)・多枝病変の血行再建術について検討。LMT患者では再血行再建の低さでCABGが勝っていたほか、LMT+2枝以上の患者では総死亡もCABGの方が有意に低いなど、米欧で行われた大規模臨床試験と同様の傾向にあることを明らかにした。
CREDO-Kyotoレジストリーは、2000年1月~02年12月に初回のPCIまたはCABGが実施された日本人症例の予後を追跡する観察研究で、30医療機関の患者9877例が登録されている。PCIはベアメタルステントのみを対象とした。追跡期間中央値は3.5年。
今回解析対象としたのはPCI群165例、CABG群742例の計907例。PCI群の方がより高齢で(平均年齢:71.4歳 vs. 68.3歳、P<0.001)、左心機能は保たれていたが(左室駆出率:62.8% vs. 60.7%、P=0.008)、これ以外では両群間に有意な差はなかった。合併症では、糖尿病や脂質異常症の合併がCABG群の方で多い傾向にあった。
病変指数は、PCI群の1.8に対しCABG群は2.0と有意に多かった(P=0.003)。血行再建は、LMTのみあるいはLMT+1枝病変の患者まではPCIが多かったが、LMT+2枝以上ではCABGの方が多く行われていた。