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日本冠疾患学会2009
重症腎障害群のCABG長期予後は透析群と同等に不良
末梢動脈疾患の併存もリスクに、全身の血管に注意が必要

2010/01/15
軸丸 靖子=医療ライター

倉敷中央病院の伊藤丈二氏

 透析患者では冠動脈バイパス術(CABG)の予後が不良なことが知られているが、推定糸球体濾過量eGFR)が30mL/min/1.73m2(以下、単位省略)未満の重症腎機能障害でもCABG後の長期生存率は悪く透析患者と同等になることが、10年間の追跡結果から明らかになった。倉敷中央病院心臓血管外科の伊藤丈二氏が、第23回日本冠疾患学会学術集会(12月18~19日、開催地:大阪市)外科内科合同シンポジウム―Complex症例―で報告した。

 伊藤氏らは、1998年1月~2008年12月の10年間に同院でCABGを受けた1220例中、緊急手術と合併手術を除く659例を対象に、術前の腎機能障害の程度によって5群に分け、長期予後を比較した。

 分類はeGFRが90以上を(腎機能)正常群、90未満60以上を(腎機能障害)軽症群、60未満30以上を中等症群、30未満を重症群、術前から透析を受けている患者を透析群とした。

 患者背景は、重症群になるほど年齢が上がったが、透析群に関しては平均年齢61.2歳と軽症群(67.7歳)より若かった。脂質異常症の併存は重症群で少なく、糖尿病の併存は重症群と透析群で多かった。末梢動脈疾患(PAD)の合併は腎機能の悪化に伴い増加する傾向があった。血清クレアチニン値は、軽症群に比べ中等症群と重症群で有意に悪化していた(いずれもP<0.001)。

 心血管の状態については、左室駆出率(EF)は正常~中等症群までは平均55%以上あったが、重症群では44.9%と、軽症群に比べ有意に低下していた(P<0.001)。冠動脈インターベンション(PCI)の既往およびNYHAの心機能分類では、各群に差はなかった。CABGがオフポンプで行われた割合は各群70~80%で、これも差がなかった。

 

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