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日本冠疾患学会2009
CABGとPCIのハイブリッド治療は安全で有効
「入院期間は短くLITA開存率も遜色なし」と演者は強調

2010/01/12
軸丸 靖子=医療ライター

カナダ・ウエスタンオンタリオ大学のBob Kiaii氏

 冠動脈バイパス術(CABG)と経皮的冠動脈インターベンション(PCI)のどちらが優れるかという議論が半ば神学論争化する中で、PCIとCABGを同時に行うハイブリッド血行再建術が注目されている。侵襲的治療が1回で済む上、低侵襲で術後の回復が早く、再狭窄率も低いという、“いいとこ取り”の治療法だが、手術室とカテーテル室の両方の機能を備えた特別室が必要になるほか、具体的な施行法の細部はまだ試行錯誤の段階だ。

 手術ロボットを用いたハイブリッド治療に取り組み安全性や実行可能性について詳細に検討しているカナダ・ウエスタンオンタリオ大学のBob Kiaii氏が、第23回日本冠疾患学会学術集会(12月18~19日、開催地:大阪市)で講演。ハイブリッド治療の実際を紹介すると共に、同治療法では抗血栓療法や治療に適した患者の選択がポイントになると指摘した。

 同時施行といっても、PCIとCABGのどちらに先に行うかも議論がある。出血性合併症を懸念する場合はPCIを先に行うが、Kiaii氏らは術中の出血や抗血栓療法の問題だけでなく完全な血行再建を目指す観点から、CABGを先に行っている。左内胸動脈(LITA)から左前下行枝(LAD)へのバイパス術を外科医が手術ロボットにより行い、それ以外の病変部位には循環器内科医がPCIを行う方法だ。

 ハイブリッド治療で大きな問題となるのは、抗血栓療法だ。CABGではヘパリンと中和剤としてプロタミンを用いているが、PCIではヘパリンのみか、糖蛋白IIb/IIIa阻害薬+クロピドグレルを用いることが多い。これをそのままハイブリッド治療に用いれば、術後出血のリスクが高くなってしまう。

 そこでKiaii氏らは、PCIに用いられているbivalirudinを主に用いることにした。CABGには使われることの少ない直接トロンビン阻害薬だが、オフポンプCABGでは術後出血、グラフトフローとも良好で、ヘパリンの代替薬となり得ることが複数の試験で確認されているためだ。

 

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