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AHA2009
STEMI/PCIガイドラインのFocused Updates発表される
unprotected LMTへのステント留置や血栓吸引療法を公認

2010/01/01
中西 美荷=医学ライター

 米国心臓学会ACC)と米国心臓協会AHA)などは、2009年11月に開催された米国心臓協会年次学術集会(AHA2009)で、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の管理と経皮的冠動脈インターベンション(PCI)に関する合同ガイドラインについて、最新エビデンスの先行組み入れともいうべき“Focused Updates”を公表した[1]。詳細はCirculation誌2009年12月1日号に掲載された。

 STEMI患者のケアについて、地域のシステム構築を強く推奨したことや、左冠動脈主幹部へのステント留置を認めるなど、新たな推奨事項を含め、STEMIとPCIにかかわる7項目、PCIにかかわる4項目がアップデートされた。

 Focused Updatesは、ガイドラインそのものの改訂ではないが、新たなエビデンスをできるだけ迅速に組み込み、実臨床に反映させることによって、患者のアウトカムやQOLを向上させようとするもの。今回は、ACC、AHA、米心血管カテーテル治療学会(TCT)、欧州心臓学会(ESC)の07~08年の大会、およびACCの09年の大会でLBCT(late-braking clinical trials)で発表されたエビデンスが加味された。以下、アップデートの概要を項目別に紹介する。


STEMIとPCI に関するFocused Update
STEMI and PCI Focused Update Section

Glycoprotein(GP)IIb/IIIa 受容体拮抗薬
(1)特定のSTEMI患者に対するPCIによる治療開始(primary PCI)に際し、abciximab、tirofiban、eptifibatideを、抗血小板薬の併用療法や抗凝固薬と共に用いるのは妥当(現行ガイドラインはprimary PCI前のabciximabを推奨)。tirofiban、eptifibatideをClassIIbからIIaに変更、対象を多量の血栓(large thrombus)を有する患者などに限ることで、より大きな利益が期待できる。

(2)GP IIb/IIIa 受容体拮抗薬を、カテーテル施設への到着前の薬理学的戦略として用いることの有用性は不透明。ルーチンでの使用は推奨できない。

チエノピリジン系抗血小板薬
(1)PCIが計画されているSTEMI患者に対し、チエノピリジン系抗血小板薬のローディングドーズを推奨しているが、そのレジメンの1つとして、新たにプラスグレルが加えられた。プラスグレルは、クロピドグレルと比較して出血リスクは高いが、全死亡、虚血性イベント、重大な出血イベントにおいて優位の結果が得られている(TRITON-TIMI38)。

(2)脳卒中の既往、TIA既往のあるSTEMI患者でprimary PCIを行う場合、プラスグレルを抗血小板薬併用療法の1剤として用いることは推奨できない(Class III推奨事項として新設)。プラスグレルは糖尿病合併患者での効果は高いようだが、75歳以上や体重60kg未満の患者では利益がない。

(3)抗血小板薬併用療法とプロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用に関して公式の推奨を行うためには、ランダム化比較試験とピアレビューされた論文発表が必要。

非経口抗凝固薬
 bivalirudinはSTEMI患者のprimary PCIにおいて、患者が未分画ヘパリン(UFH)を投与されたかどうかにかかわらず有用(新たなClass IIa推奨事項)。bivalirudinの使用に伴う急性の血栓症リスクはUFHの前投与によって軽減され、亜急性ステント血栓症はローディングドーズ600mgのクロピドグレルによって軽減されるとみられるが、これらについては前向き試験での確認が必要。

 

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