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米国腎臓学会(ASN)2009
貧血治療薬ダルベポエチンは糖尿病腎症の予後を改善せず
4000例余りを2年半追跡したTREATの結果

2009/11/30
小林 圭=医学ライター

米Brigham And Women's HospitalのMarc A. Pfeffer氏

 腎不全では貧血を高頻度に合併するが、最近の研究で2型糖尿病慢性腎臓病(CKD)と貧血が合併すると心血管イベントと末期腎不全のリスクが著明に上昇することが明らかになっている。このため貧血の治療により生命予後も改善すると期待されているが、そのエビデンスはまだない。

 そこで、腎症を合併した2型糖尿病患者を対象に貧血治療の有用性を検証する大規模臨床試験、TREAT(Trial to Reduce Cardiovascular Events with Aranesp Therapy)が実施され、その成績が第42回米国腎臓学会ASN2009)のLate-Breaking Clinical Trialセッションで発表された。報告者は米Brigham And Women's HospitalのMarc A. Pfeffer氏。

 TREAT試験は24カ国623施設が参加した国際多施設共同研究で、対象は2型糖尿病に、透析治療を必要としない腎症と貧血を合併した患者だ。腎症については推算糸球体濾過量(eGFR)が20~60mL/min/1.73m2、貧血についてはヘモグロビン(Hb)11g/dL以下およびトランスフェリン飽和度15%以上とした。

 対象患者を赤血球造血刺激因子製剤ダルベポエチンαまたはプラセボに無作為に割り付け、ダルベポエチン群ではHb13g/dLを目標に投与量を調節、プラセボ群ではHbが9g/dL未満に低下した場合にのみレスキュー治療としてダルベポエチンを一次的に投与し、9g/dL以上に回復した時点で再度プラセボに変更した。

 有効性評価のための1次エンドポイントは、(1)死亡または複合心血管イベント(非致死的心筋梗塞、うっ血性心不全、脳卒中、心筋虚血による入院)、(2)死亡または末期腎不全とした。

 上記の条件を満たす患者4038例が登録され、2012例をダルベポエチン群に、2026例をプラセボ群に割り付けた。観察期間は29.1カ月(中央値)だった。試験開始時の患者背景では、心不全合併率がプラセボ群で有意に高かったが、その他の人口学的特徴、臨床所見に差は見られなかった。

 ダルベポエチンの月間投与量中央値は、ダルベポエチン群176μg(四分位範囲:104-305μg)、プラセボ群0μg(四分位範囲:0-5μg)だった。ダルベポエチン群のHb値は、治療前の10.5g/dL(中央値)から12.5g/dL(症例別期間平均値の中央値)に上昇し、治療期間を通じてほぼ同レベルで推移した。プラセボ群のHb値は治療前10.4g/dL(中央値)で、治療期間中軽度に上昇したが、治療後の中央値は10.6g/dLだった。

 試験期間中における赤血球輸血施行率は、ダルベポエチン群14.8%、プラセボ群24.5%であり、両群の差は有意だった(P<0.001)。経口鉄剤の投与はダルベポエチン群66.8%、プラセボ群68.6%(P=0.25)と差はなかったが、鉄剤静注の頻度はプラセボ群の方がダルベポエチン群に比べ有意に高かった(P<0.001)。

 

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