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日本心不全学会2009
左室機能が保持された心不全患者にもβ遮断薬は有効か
2施設から相反する結果が

2009/11/24
軸丸 靖子=医療ライター

 左室機能が保たれた心不全HFpEF)患者に対するβ遮断薬は有効か――。同様なclinical questionを検討し相反する結果となった2つの研究が、第13回日本心不全学会学術集会(10月30日~11月1日、開催地:福岡市)のポスターセッションで発表された。

 左室駆出率(EF)が保持された心不全でもβ遮断薬が有効とみられると発表したのは、東大大学院成人看護学分野の加藤尚子氏。心不全患者をEF保持群(EF≧50%)とEF低下群(EF<50%)に分け、患者の予後に対するカルベジロールの用量依存的効果を検討した。

 対象は、2006年7月~11月に同大病院循環器科を外来受診した20歳以上の心不全患者計103例のうち、カルベジロールを投与された98例。EF低下群(47例)とEF保持群(51例)の2群に分け2.1年間前向きに、1次アウトカムとして心臓死および心不全による入院の発生を追跡した。

 2群間に、年齢、性、心不全による入院歴、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値などに有意な差はなかったが、心不全罹病期間はEF保持群がEF低下群より有意に長かった(3.7年 vs. 1.7年、P=0.02)。

 カルベジロール投与率は、追跡開始時(70.2% vs. 39.2%)、追跡終了時(74.5% vs. 47.1%)ともにEF低下群の方がEF保持群より有意に高く(どちらもP<0.01)、投与量も倍近かった(追跡開始時:7.3mg vs. 4.5mg、終了時:10.5mg vs. 5.4mg)。

 2.1年後のイベント非発生率(event-free survival)は、EF低下群80%程度、EF保持群90%程度で、有意な差はなかった(ハザード比:0.43、95%信頼区間:0.15-1.26、P=0.12)。

 カルベジロールの投与量とイベント非発生との関連を見ると、EF低下群では、カルベジロールの投与量とイベント非発生との間に用量依存的な有意関連が認められた(P<0.001)。

 EF保持群でも、カルベジロール投与患者に比べ非投与患者では、有意にイベント非発生率が低かった(P=0.03)。ただし、投与量との関連は見られなかった。

 

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