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米国腎臓学会(ASN)2009
経口吸着薬AST-120が高度腎不全に伴う動脈硬化を抑制
腎摘マウスを用いた検討、抗炎症作用を介した効果か

2009/11/24
小林 圭=医学ライター

米バンダービルド大学の山本卓氏

 慢性腎臓病CKD)は全身的な心血管病のリスクを上昇させるが、重症腎不全患者における心血管病発症を抑制し得る薬物は、RA系阻害薬を除けば期待できるものは少ない。

 日本では重症腎不全の治療に尿毒症毒素の吸収排泄を促進する経口吸着薬AST-120(クレメジン)が使用されているが、AST-120が重症腎不全の動物モデルである腎臓摘出マウスにおける動脈硬化の進行を抑制することを、第42回米国腎臓学会(ASN2009)で米バンダービルト大学の山本卓氏が報告した。

 実験には8週齢のアポE欠損マウス(apo E-/-)を用いた。対象マウスを3群に分け、片腎摘出(UNx群、14例)、6分の5腎摘出(SNx群、15例)または偽手術(S群、10例)を施行後、それぞれをさらに群別し、以下の治療を行った。

UNxおよびSNx群 
1)処置後すぐにAST-120投与を開始
2)処置4週後からAST-120投与を開始
3)AST-120非投与

S群
1)処置4週後からAST-120投与を開始
2)AST-120非投与

 AST-120の投与期間は24週間。治療終了時に大動脈を摘出、ズダンIV染色により血管内腔表面および断面における動脈硬化性病変の面積を測定するとともに、病変の特徴を病理組織学的に観察した。

 上記3群の実験開始時の収縮期血圧はほぼ同等であり、AST-120を投与しても有意な変化は見られなかった。腎摘を行った2群のクレアチニンクリアランスはS群に比べ有意に低かった。血清中性脂肪値に3群間で有意差は見られなかったが、血清コレステロール値はSNx群がS群に比べ有意に高かった。UNx群のコレステロール値はS群と同等だった。AST-120はクレアチニンクリアランス、中性脂肪、コレステロールのいずれに対しても有意な変化を及ぼさなかった。

 

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