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日本心不全学会2009
心房細動は心不全患者の予後を悪化させない
「SOLVD試験のデータは今では生きていない」と山下武志氏

2009/11/16
軸丸 靖子=医療ライター

心臓血管研究所の山下武志氏

 1990年代のSOLVD試験以降、「心房細動を合併した心不全は予後が悪い」ことは自明の理とされた。だがこの研究は、心不全にACE阻害薬を使うかどうかが議論された時代のものであり、ACE阻害薬やβ遮断薬の使用が当然になった現在に通用するかは明らかではない。

 第13回日本心不全学会学術集会(10月30日~11月1日、開催地:福岡市)のシンポジウム「心不全患者の心房細動をどう治療するか?」で心臓血管研究所の山下武志氏は、「Shinken Database」の解析から、「心房細動を合併しても心不全患者の予後は悪化せず、心不全患者のAF治療の意義は再考すべき」と指摘した。

 Shinken Databeseは、同研究所附属病院を初診で受診して循環器疾患と診断された患者すべてを対象とした患者登録研究で、2004年にスタートした。今回は、2004~06年度に登録された患者(6562例)から、NYHA II度以上の心不全患者891例を抽出し、心房細動の有無による患者背景や予後の違いを比較・検討した。891例中260例(29%)が心房細動を合併し、631例が洞調律だった。

 心房細動(AF)群では洞調律(SR)群に比べ、より高齢(66.8歳vs.63.2歳)で、軽症例が少なく(NYHA II度の比率:69.6% vs. 80.2%)、弁膜症が多く(47.7% vs. 27.9%)、左房径も拡大していた(44.4mm vs. 35.8mm、いずれもP<0.001)。また、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)もAF群の方が上昇傾向にあった(459.8pg/mL vs. 433.3pg/mL)。左室駆出率(LVEF)に有意差はなかった(AF群60.4% vs. SR群63.9%)。これらの背景からは、AF群の方が予後は悪いと推測された。

 さらにAF群を持続性AF群(144例)と発作性AF群(116例)に分けて比較したところ、持続性AF群の方が発作性AF群より、高齢、重症心不全が多い、弁膜症が多い、LVEFが低値、左房径が大きい、BNPが高値という傾向にあり、AFが持続性であれば予後はさらに悪いことがうかがわれた。

 

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