
ドイツ・ハノーバー大学のHermann Haller氏
2型糖尿病における早期腎症のサインであり、心血管合併症の危険因子でもある微量アルブミン尿の発症を、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の追加投与により抑制できることが明らかとなった。
これは、正常アルブミン尿の2型糖尿病患者を対象に、ARBオルメサルタンの上乗せ効果を評価した大規模臨床試験「ROADMAP(Randomized Olmesartan and Diabetes Microalbuminuria Prevention)」の結果で、第42回米国腎臓学会(ASN2009)のLate-Breaking Clinical Trialセッションで、ドイツ・ハノーバー大学のHermann Haller氏が報告した。
ARBは2型糖尿病に合併した腎症の進展を抑制することが既に判明している。だが、尿中アルブミン量が正常な2型糖尿病患者に投与して微量アルブミン尿の発症予防が可能かどうかを検討した大規模臨床試験はなかった。ROADMAPはこの問題に解答を得るために、欧州19カ国で実施された国際多施設共同研究だ。
試験の対象は、18~75歳、2型糖尿病(空腹時血糖値≧126mg/dL、HbA1c≧6.5%、あるいは糖尿病治療中)で、アルブミン尿は正常(アルブミン/クレアチニン比:男性25mg/g以下、女性35mg/g以下)だが、他の心血管危険因子(総コレステロール高値、高比重リポ蛋白コレステロール低値、中性脂肪高値、肥満、腹部肥満、高血圧、喫煙のうち少なくもと1つ)が認められる患者。
この条件に該当する患者4447例が登録され、オルメサルタン上乗せ群(40mg/日)またはプラセボ群に無作為に割付された。1次エンドポイントは微量アルブミン尿の発症(早朝スポット尿により判定)、2次エンドポイントは心血管イベント、腎機能悪化などで、平均3.5年間追跡した。
オルメサルタン群には2232例、プラセボ群には2215例が割り付けられた。全患者の登録時背景は、年齢57.7歳、男性比率は46%で、主な腎機能および心血管リスク関連指標は2群間に有意差はなく、保有する危険因子数にも差はなかった。