
東京都済生会中央病院の長谷川祐氏
一見何ということのない耳たぶの皺だが、実は40年近くも前に冠動脈疾患(CAD)の危険因子として報告された所見である。しかし、肥満や人種、老化との関連に過ぎないとの説もあり、その臨床的意義は不明だ。
東京都済生会中央病院循環器科の長谷川祐氏らは、自院症例の耳たぶの皺とCADとの関連を分析。両側ともに耳たぶに皺がないことはCADが存在しないことを予測するという陰性の関連が確認されたと、第57回日本心臓病学会学術集会(9月18~20日、札幌市)で発表した。
長谷川氏らは、2008年6~7月の2カ月間に同院で負荷心筋シンチグラフィー(MPI)を施行した98例中、新規のCAD疑い患者とされた連続68例(平均年齢69.2歳、男性68%)を対象に、耳たぶの皺とCADの関連を検討した。
耳たぶの皺は、左右別に、「皺なし」(皺を全く認めない)、「細い線」(線のような皺)、「浅い皺」(はっきりした皺だが、深くない)、「深い皺」(耳たぶが2つに分かれて見えるような深い皺)の4段階に分類した(写真1)。CADについては、MPIで明らかな再分布・欠損を認めた26症例(38%)をCADありと判定した。