日経メディカルのロゴ画像

欧州心臓学会(ESC)2009
新規抗血小板薬のticagrelorが好成績、PLATO試験
心血管イベントの相対リスクはクロピドグレルに比べ16%低下、安全性は同等

2009/09/10
宇田川 久美子=医学ライター

ウプサラ大学のLars Wallentin氏

 英国AstraZenecaが急性冠症候群の治療薬として開発している抗血小板薬ticagrelor」は、代謝活性化が不要で血小板のP2Y12受容体に直接作用し、可逆的な抗血小板作用を発揮する初めての薬剤である。

 スペイン・バルセロナで開催された第31回欧州心臓学会(ESC2009)でスウェーデン・ウプサラ大学のLars Wallentin氏は、ticagrelorとクロピドグレルの効果と安全性を比較するPLATO試験(A Study of Platelet Inhibition and Patient Outcomes)の結果を発表した。

 1万8624例の急性冠症候群(ACS)患者が対象となったPLATO試験において、ticagrelorによる心血管イベント予防効果はクロピドグレルを有意に上回り、一方で両者の安全性に差はみられなかった。

 最近の欧米のガイドラインでは、ACSの発症から1年間はアスピリンとクロピドグレルの抗血小板薬併用療法を推奨している。しかし、クロピドグレルは、肝臓での代謝を要するプロドラッグであるため、効果発現に時間がかかることや肝代謝酵素の多型による効果の個体差が大きいこと、P2Y12受容体との結合が不可逆的であるため、血小板自体が分解されるまで効果が持続して、出血のハイリスク患者には使いにくいことなどが指摘されている。

 これに対してticagrelorは肝代謝酵素の影響を受けず、速やかで安定した抗血小板作用が血中濃度に依存して得られ、しかも投与の中止により血小板作用の回復が望める。そこで、両者を比較する多施設共同無作為化二重盲検比較試験としてPLATO試験が計画された。

 対象は、クロピドグレル禁忌例や直近の線溶療法・抗凝固療法施行例などを除くACS患者1万8624例。これらの患者は、発症から24時間以内に無作為にticagrelor群(n=9333)またはクロピドグレル群(n=9291)に割り付けられ、それぞれの薬剤による治療を6~12カ月間受けた(図1)。

この記事を読んでいる人におすすめ