日経メディカルのロゴ画像

日本動脈硬化学会2009
スタチンによる治療は後期高齢者でも有用性が期待できる
ハイリスク例でも効果は認められるが、日本人でのエビデンスはまだ不十分

2009/08/06
七宮 充=医学ライター

 後期高齢者脂質異常症に対する治療については、まだ十分なコンセンサスが得られていない。第41回日本動脈硬化学会総会・学術集会(7月17~18日、山口県下関市)で開催されたシンポジウム「後期高齢者に対する脂質管理はどうあるべきか」では、この点をテーマに議論が交わされた。

 その中で、東京慈恵会医科大学臨床検査医学講座・大学院代謝栄養内科学の吉田博氏は、内外の成績を引きながら脂質異常症に対する薬物療法の有用性を概説。「十分なエビデンスが得られているとはいえないが、スタチンによる低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)低下療法は、後期高齢者の心血管イベントを減少させる可能性がある」と指摘した。

 高齢者の脂質異常症が心血管イベントのリスクになるかどうかについては、これまでいくつかの検討が行われており、否定的な結果が散見される。例えば85歳以上の超高齢者を10年間追跡したWeverlingらの報告(Total Cholesterol and Risk of Mortality in the Oldest Old)やHonolulu Heart Programでは、総コレステロール(TC)の高い群ほど死亡率が低下した。しかし、これらはいずれもコホート観察研究であり、前向きの介入試験では様相が異なる。

 2005年に発表された、スタチンを用いた14の前向き大規模試験のメタ解析では、65歳以下の非高齢者群、66歳以上の高齢者群でほぼ同等の心血管イベントの抑制効果が得られ、副作用についても両群間で有意差がなかった。

この記事を読んでいる人におすすめ