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ACC2009
「心血管疾患診療の抜本見直しを」とウイーバー会長
循環器医療の質と効率を高める努力を会員医師に求める

オープニングセッション会場。保健医療経済の話題だったためか、聴衆は例年より少なめだった。

 第58回米国心臓病学会ACC2009)のオープニングセッション(Scientific Showcase)は、折からの景気後退の中で、保健医療経済をテーマにウイーバー(W. Douglas Weaver)氏が会長講演を、続くSimon Dack Lectureでは、米プリンストン大教授で経済学者のラインハルト(Uwe E. Reinhardt)氏が講演を行った。

 ウイーバー氏は「医療費医療の質医療の効率の観点から、米国の心血管疾患診療は見直されるべき時期に来ている」と現状批判ともいえる講演を行った。また、ラインハルト氏は「保健医療の再構築が必要だが、それは政府の仕事ではなく、ACCなど医師の組織が率先すべきだ」と会員医師にエールを送った。ただ、今回のオープニングセッションのテーマが保健医療経済であることが告知されていたためか、学会員の関心はさほど高くなく、参加者は4000人程度で、広い会場には空席が目立った。

 ACCは1949年、14人の基金寄付者により創立された。その目的は、循環器専門医が診療と研究に打ち込める環境を作るためだった。ウイーバー氏は講演の冒頭で、ACCの原点をこう確認した。その上で、「未曾有の経済危機にある今、この創立の原点に立ち返り、現在の診療と研究を見つめ直すべきだ」と強調した。

 ACC創立後の1950年から2005年の55年間で、米国の心血管疾患による死亡率は59%から21%へと3分の1に減少し、一定の成果が上がっているように見えるが、人口は高齢化し、肥満者は増え、「何より心血管疾患患者の増加が続いていることに正対しなければならない」とウイーバー氏。「こうなったのは、我々がすべての患者に科学的根拠のある最善の治療を提供してこなかったからだ」と、反省点を挙げた。

 そして「現状維持はしない。かといって、従来の治療法に比べてアウトカムや安全性の向上が証明されていない新しい診療技術の安易な導入もしない。政府に言われるまでもなく、ACCの会員が、医師という職能者として、医療費の削減と医療の質・効率の向上を率先して実行すべきだ。それは嫌だと駄々をこねられる状況ではない」とした。

 ウイーバー氏は医療効率化の目標として、「画像撮影の10~15%の削減」「心不全による30日以内の再入院の20%削減」「再灌流療法実施率の地域差を2012年までに50%以内に」など6項目を挙げた。

 

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