日経メディカルのロゴ画像

糖尿病学の進歩2009
肥満なくても心血管リスクは危険因子数に応じて上昇
耐糖能異常があると危険因子数に関係なく高リスク状態に

2009/03/25
編集部

 循環器疾患のリスクは、一般に危険因子の集積数が多いほど高くなる。こうした傾向は肥満のない人、すなわちわが国ではメタボリックシンドロームに該当しない人でも認められるほか、耐糖能異常がある人は危険因子集積数にかかわらずリスクがきわめて高いという。長野県松本市で開催された第43回糖尿病学の進歩(2月20~21日)のレクチャー「2型糖尿病診療のupdate」で、国立循環器病センター予防検診部の岡村智教氏が指摘した。

 循環器疾患の予防策として、危険因子が集積した状態であるメタボリックシンドロームの改善が重要とされているが、その判定方式は国や勧告機関によって異なる。わが国の8学会合同基準(2005年)や国際糖尿病連合のアジア基準(2005年)では腹部肥満(ウエスト周囲径)を必須項目としているのに対して、WHO基準(1998年)では耐糖能異常が必須項目。米国のNCEP基準(2004年)では必須項目を設けず、危険因子の集積数(3項目以上)で判定する。

 岡村氏は、各判定方式で循環器疾患による死亡リスクに違いが出るかを、わが国の大規模疫学研究NIPPON DATA 90のデータを用いて検討した。NIPPON DATA 90は、1990年から開始された厚生省(当時)の循環器疾患基礎調査で、全国300地区の住民約8400人を平均約10年間追跡した研究。ベースライン時に認められた各危険因子の頻度は、高血圧63%、低HDLコレステロール31%、肥満(BMI 25kg/m2以上)24%、高中性脂肪17%、高血糖8%だった。

 危険因子の集積数と循環器疾患による死亡ハザード比(HR)の関係を見ると、HRは集積数の増加に伴って明らかに上昇した。次に、肥満の有無で分けて検討したところ、肥満のある群、ない群いずれも、危険因子の集積数が多いほどHRが高くなる傾向が認められた。高血糖の有無で分けると、高血糖のない群では危険因子の集積数に応じてHRが高くなる傾向が見られたものの顕著ではなく、高血糖のある群では集積数が2個のグループ、3個以上のグループともHRが3以上と非常に高かった。

この記事を読んでいる人におすすめ