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ISC(ASA) 2009
「発症後1時間」がtPA投与の“Golden Hour”
病院到着後の対応の早さがカギ、発症時間推定に有用なFLAIR画像

カリフォルニア大のJeffrey L Saver氏

 脳梗塞治療薬として10年以上前に米食品医薬品局(FDA)が認可した組織プラスミノーゲン活性化因子tPA)は、発症後3時間以内に静脈投与することが推奨されている。しかし、3時間以内投与を実現するには様々な障害がある上、時間軸だけで投与の適応かを判断することにより発症時間が不明のケースでは治療の機会が失われてしまうといった問題が残されている。米国脳卒中協会(ASA)が主催するInternational Stroke ConferenceICS2009)では、脳梗塞救急医療とtPA投与のタイミングなどについて、新たな論議が提起された。

 「tPAの静脈投与による再灌流が、最も大きな利益をもたらす時間(Golden Hour)とは、発症後1時間以内に病院に到着することだ。さらに、迅速に治療を開始することが重要だが、それが実現できていない。脳梗塞についての市民の啓発と、病院内の対応がカギを握るっている」。こう強調したのは、米カリフォルニア大ロサンゼルス脳卒中センターのJeffrey L Saver氏だ。

 Saver氏らは、米国心臓協会(AHA)が提唱する“Get With The Guidelines-Stroke(GWTG-S)”という脳卒中の治療成績向上運動に参加する905病院の協力を得て、2003年4月から07年12月までの4.75年間に、救急外来を受診した脳卒中患者とTIA患者51万7792例のうち、発症から救急外来到着まで(Onset to Door;OTD)の時間がカルテに記載されている10万6924例の脳梗塞患者について、後ろ向き解析を行った。

病院到着後、tPA投与まで平均84分かかっている
 OTD時間で患者を分類すると、1時間以内(Golden Hour)の患者が3万220例(28.3%)、1~3時間以内が3万3858例(31.7%)、3時間以上が4万2846例(40.1%)だった。

 救急外来到着後にtPAの静脈投与を受けた患者は1万2545例。これをOTD時間で層別化すると、1時間以内が8111例(64.7%)、1~3時間が4327例(34.5%)、3時間以上が107例(0.9%)だった。また、OTD時間が1時間以内の患者は27.1%がtPA投与を受けており、1~3時間の患者(12.9%)の倍以上の頻度だった。

 ところが、tPAが投与された1万2545例のOTD時間は平均56.3分と“Golden Hour”だったものの、到着からtPA投与を受けるまで(Door to Needle;DTN)の時間は平均84.1分もかかっていた。

 しかも、このDTN時間をOTD時間により層別化したところ、病院到着まで1時間以内(つまりGolden Hour)の患者が平均90.6分、到着まで1~3時間だった患者が平均76.7分と、病院到着までの時間が短い患者の方が、到着からtPA投与までは時間がかかっていたことが判明した。

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