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5月スタートの新裁判制度で医療裁判が増える?
検察審査会の権限も強化され、2回の起訴相当決議で自動的に起訴

2009/02/18
小田 修司

講演後に対談する最高検察庁検察官の大島忠郁氏と座長を務めた大和成和病院院長の南淵明宏氏。

 1月29~31日に開催された「CCT(Complex Cardiovascular Therapeutics)2009」のランチョンタイムトークセッション(座長:大和成和病院院長の南淵明宏氏)に最高検察庁の現役検察官である大島忠郁氏が招かれ、講演した。同氏は今年5月に実施が予定されている裁判制度改革により医療裁判が増える可能性がある、との見方を示した。

 大島氏はまず、医療裁判でどのような場合に起訴されるのかについて解説した。

 検察に事件の調書が送られてきても(送検)、検察官が「証拠が十分でない」と考えた場合には起訴されない。また、証拠が十分なら必ず起訴されるのかというと、そうでもない。

 例えば、医療者の落ち度が明らかだが、示談が成立して患者が納得しており、医療者本人も落ち度を自覚して改善措置を取っていることが認められるといった場合には起訴しないこともあるとのこと。

 すなわち現在は、検察官が(1)「嫌疑がない」と判断、(2)「嫌疑が不十分」と判断、(3)「証拠は十分だが起訴しなくてもよいと判断したケースなどでは起訴せず、基本的には裁判にならないわけだ。

 しかし今年5月21日以降は、状況が変わりそうだ。

 その日から、2004年に成立した「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」に規定された裁判員制度が実施に移される。裁判員裁判は、抽選で選ばれた一般人が、裁判員として裁判に参加し、有罪無罪、さらに量刑の決定にまでかかわることについては一般紙などでも広く報じられているところだ。もっとも「医療事故の裁判が、裁判員裁判になることはおそらくないのではないか」と大島氏。

 というのは、裁判員裁判の対象は殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪などの重大犯罪であり、業務上過失致死・障害が争われる医療裁判はおそらく対象にはならないためだ。「むしろ密接にかかわってくるのは、あまり知られていないが『検察審査会』の新制度だろう」と大島氏はみている。

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