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ネットで連携パス 第3回
「記入はADL情報だけです」
バリアンスは必ず発生する、それが業務を複雑化する

2008年4月の診療報酬改定で、脳卒中の「地域連携診療計画管理料」「地域連携診療計画退院時指導料」が算定可能になった。これを機にネットを使った脳卒中の連携パスを構築し運用を開始した倉敷中央病院脳神経外科の鳴海治氏と同科主任部長の山形専氏に、その狙いと運用の実態を聞く。
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――連携パスを作る際に考えたもう1つのポイントは、医師の業務をできるだけ増やさないということでしたね。
鳴海 そのために一番重要なのは、バリアンスが発生しないシステムにすること。医師の新しい業務が発生しても、それが通常の業務に流用できることだと思います。ただこれは難しいです。パスというのは、何かの作業を標準化して、そこからメリットを得るというのが目的ですが、脳卒中の医療は同じ治療をしても結果が枝分かれして派生していく。何かするごとに必ずバリアンスが発生するのです。何日目に何をやる、といったことは絶対に標準化できない。そうしたら何のためのパスかということになるわけです。

――なるほど。
鳴海 だから個々の患者は担当の医者が診ていればいいと考えて、バリアンスが発生するような情報は、パスに載せないことにしたわけです。各医療機関の医師は、「脳卒中の医療では転院が必要」ということは既には分かっているし、それを患者さんにもちゃんと伝えている。しかも成果を出しているわけですから、その部分をパスに頼る必要はないということです。

――確かにこれまで取材した印象では、シンプルな構造でないと、結局、運用されないという問題があるようですね。
鳴海 全くそのとおりだと思います。パスの命は運用率です。使って皆がハッピーになれるかという問題はありますが、まずは運用率が重要です。

――院内での脳卒中パスを運用されていたのですよね。それを参考にしたわけですか。
鳴海 いえ。実は、院内のパスは悲惨な運用率だったのです。それを連携パスにしたらもっとひどいことになるのは目に見えていました。それで思い切って、必要最小限の内容に絞り込んだわけです。
退院時に、担当医に記入を求めているのは、受け入れ先病院で対応準備に必要な情報、つまり患者のADL情報のみです。退院時の意識状態、嚥下能力、活動度については、文章で伝えるスペースを設けています。「特記事項」の欄には患者の社会背景などを記載することにしています。

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